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2023-10-30

視診だけでは難しいが...

労作時の動悸感を訴える症例(端座位)

😀 解説
  • 安静時や吸気時に鎖骨上にわずかに拍動あり??
  • 前屈で周期的拍動(隆起)が明瞭になった(矢印)
  • 隆起を触ってみると明らかに動脈性拍動であった
  • 本例は最終的に心不全の状態ではないと判断した

 😎 追加コメント
  • 前屈で頸静脈所見が悪化する症例は少なくありません.陥凹から隆起になることが多いと思いますが(自験例),吸気陰性なのに前かがみでいきなり陽性波を示す症例もあります(自験例).前屈は吸気負荷よりも心臓への負担が大きいと思います
  • 本例も一見,中心静脈圧の上昇が疑われましたが,最終的には体位変換に伴って顕性化した動脈拍動でした.大脈を示す病態(大動脈弁逆流や甲状腺機能亢進,発熱,貧血など)はないため,加齢に伴う動脈蛇行(=偽コリガン脈)と診断しました.
  • 鑑別すべき病態に肥大型心筋症のa波の顕性化があります(自験例).触診で静脈を確認したら次は脈や心音を併用した時相確認が必要です.隆起のタイミングが前収縮期なら硬くなった心室(HCMなど)や不整脈(キャノンa波)などを考えます.

松下記念病院 川崎達也)

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