転居に伴い当科を紹介受診した症例(座位)
🐤 解説
- 陽性波あり(矢印)➜ 動脈または静脈(a波 or v波)
- この陽性波は吸気で消失している ➜ 動脈性ではない
- 吸気で外頸静脈怒張(クスマウル徴候陽性)(矢頭)
- 橈骨動脈の触診による時相判定で同波形をa波と診断
- 本例は虚血性心疾患による慢性心不全状態であった
🐦 追加コメント
- 頸静脈拍動が呼吸性に変化すれば動脈性よりも静脈性を考えます(過去の投稿:twitter).吸気で胸腔内圧は低下しますが,本例のようにクスマウル徴候が陽性になる症例では頸静脈拍動の所見はまず正常化しません(ほとんどの症例で悪化:過去の投稿).よって本例では視認するv波(ランチシ徴候,CV merger)はおおむね否定できると思います.
- 座位でa波を視認するということは,心室コンプライアンスが相当低下していることを意味します(肥大型心筋症でも10%程度:過去の投稿).しかしこのa波が吸気で消失することを少なからず経験します.おまけ 🐧 クスマウル徴候を発見したドイツ人医師のAdolf Kussmaul(1822-1902)は1869年に金属管を用いて生きた人の胃内を世界で初めて観察
(松下記念病院
川崎達也)
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