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2025-03-31
第21回 循環器Physical Examination講習会より
循環器Physical Examination講習会
は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.
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👻「フィジカル講習会」の過去の投稿は
コチラ
(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(
松下記念病院
川崎達也)
2025-03-27
負荷の組み合わせ
心筋梗塞後の症例(座位)
🐔 解説
安静では頚部に明らかな拍動なし
吸気保持で拍動が出現?(矢印)
吸気を保持したまま座位➜立位へ
微妙な頚部の拍動は完全に消失!
🐙
コメント
本例は治療によってHFrEFからHFpEFに改善した
HFrecEF
症例です.深吸気保持(前負荷増加)で拍動が出現しているなら,中心静脈圧(≒右房圧)は軽度~中等度に上昇していると考えられます.しかし座位から立位への体位変換(前負荷減少)では中心静脈圧は低下しています. 実際に本例はテニスを楽しんでいます.
吸気負荷などで頚静脈拍動が出現しても,立位で消失する症例は日常生活に支障が少ないと思います(
自験例
).逆に立位になっても拍動が持続する症例は,労作時の息切れが問題になることが多いようです(
自験例
).さまざまな負荷が可能な
シンプル頚静脈©
は,心不全管理管理で無限の可能性を秘めているかも...😁
(
松下記念病院
川崎達也)
2025-03-24
CareNet 「今日の所見」
株式会社ケアネット
(CareNet, Inc.)
1996年創業の医療関係者向けのサービス提供などを行う日本の情報サービス会社
2000年開設の
CareNet.com
は医師22万人を含む会員数44万人以上(2023年10月)
「
今日の所見
」はケアネットで平日(月~金)に一問ずつ提示される画像クイズ
この3月から毎週水曜日を担当することになりました(循環器の身体所見に特化)
無料で過去1週間のクイズがご覧いただけます(初回のみ簡単な登録が必要です)
(
今日の所見
)
👶 独り言
当院の循環器内科や初期研修医に伝えたら多くが既に利用していました.
本気でポイントを貯めている(ポイ活)メンバーもいてびっくりでした.
(
松下記念病院
川崎達也)
2025-03-20
医療は人文学
陳旧性心筋梗塞の既往がある症例(座位)
💦 現場実況
患者さんは特に体調変化はないと言う
今日は頚を確認しにくい服を着ている
安静座位で明らかな頚部の拍動はない
しかし深吸気の保持で拍動出現(矢印)
BNPは200台から400台に増加していた
😐
独り言
患者さんの主治医に対する心理には二通りある(と思う).一つは過剰に心配して体調の変化を伝えようとする姿勢.もう一つは逆に症状の悪化時にはなるだけ隠そうとする姿勢.
本例は駆出率が低下した
HFrEF
であったが,心不全入院はなく,状態は長年安定した.しかし今日に限って頚部を確認しにくい(首元が締まった)シャツを着ている(と感じた).
毎回,頚部を確認しその意義をご本人にも伝えていたことを考慮すると,なんとなく患者さんの心理が伝わってきた.
心不全の悪化を主治医に悟られたくなかったのだろう
.
あえてシャツのボタンをはずしてもらうことはしなかった.症状に変わりはないと主張するが,心不全が悪化している可能性を
そっと伝えた
.減塩指導と早めの再診を指示した.
(
松下記念病院
川崎達也)
2025-03-17
第21回 循環器Physical Examination講習会より
循環器Physical Examination講習会
は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.
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松下記念病院
川崎達也)
2025-03-14
🏆 論文
循環器内科の本田先生が執筆されたケースレポートが出版されました
収縮期雑音を呈した動脈管開存(PDA)の一例です(連続雑音なし)
軽度肺高血圧のみでEisenmenger(アイゼンメンジャー)症候群なし
心エコー図では拡張期にも短絡シグナルが描出されますが雑音なし
(
Cureus 2025;17:e80691
)
🎉
PDA雑音
PDA患者の典型的な雑音といえばもちろん(第2音で途切れることなく持続する)連続性雑音です。本例のような大動脈-肺動脈シャントに加えて、動静脈シャント(冠動脈動静脈瘻、右心室へのバルサルバ洞動脈瘤破裂など)や動脈および静脈の流れの変化(
静脈雑音
、
乳腺雑音
、
甲状腺雑音
など)があります。
肺高血圧を伴うと拡張期雑音が消失することは理にかなっています。ただし本例の肺高血圧は軽度でした(平均圧28 mmHg、1.4~2.1 WU)。本例では収縮期雑音のみを聴取かつ記録した正確な原因は不明ですが、貧血や肝硬変などの併存疾患が非典型的なPDA雑音に変化させたと考えるのが妥当でしょうか?
Eisenmenger患者にみられるように、大動脈圧と肺動脈圧の平衡例では、雑音が完全に消失し無音性PDAになります(一部の症例では拡張期雑音のみ)。PDA雑音の性状は、肺動脈内のジェットの方向によっても変化するようです。本論文の考察ではこの辺りを(少し)深堀したので興味がある方はご覧ください。
👉「論文」の過去の投稿は
コチラ
(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)
(
松下記念病院
川崎達也)
2025-03-13
立位負荷と日常生活
慢性心不全例(HFpEFでEF=60%)
💁 解説
頚部に血管の隆起あり(外頚静脈)
吸気時虚脱(クスマウル徴候陰性)
鎖骨上窩の周期的陥凹は呼吸性変動
吸気負荷で頚部に拍動出現(矢印)
内頚静脈の拍動であり心不全の状態
座位から立位の体位変換で拍動消失
👻 補足
本例は様々は治療を行っても内頚静脈の座位所見が陰転化しない慢性心不全例です.ただし日常生活には支障はなく,長年安定しています.
座位から立位という体位変換はもちろん心臓にとっての大きな仕事です.しかし立位による前負荷(静脈還流)の低下は心負担を減らします.
本例のように立位で内頚静脈所見が悪化しないあるいは陰性である症例は自覚症状に乏しいことが多いと思います(
立位でも陽性の自験例
)
(
松下記念病院
川崎達也)
2025-03-10
心不全と長母音(声)
急性の非代償性心不全では発声も注目すべき身体所見の一つになるようです.肺うっ血などによる息切れに加えて,声帯浮腫などの影響があるようです.心不全症例に「あ~」と言ってみてくださいという日が来るのかもしれません(すでに実施されている施設が少なくなかったりして…😅)
🚨 臨床研究
(
Appl Sci (Basel) 2023;13:1827
)
急性心不全で入院した患者52人の会話を毎日記録
音声と会話の特徴を同定し治療中との関連を調査
治療後は治療前より安定(明瞭で速くて長い発声)
😀
独り言
息切れの判定方法としてはリハビリ中のトークテスト(Talk test)が有名です.運動強度を推定する簡便な方法の一つで,快適に会話しながら行える運動強度はおおむね安全に実施できることが
ガイドライン
にも記載されています.
昨年の心不全学会での講演で,「
長母音を18秒出せれば5メッツ以上の運動耐容能
」ということを耳にしました(論文を探し出せず).循環器診療では身体所見が大切ですが,音声に関してはまだこれからの領域かもしれません.
(
松下記念病院
川崎達也)
2025-03-06
診る練習ビデオ
心雑音で来院した症例
👀
解説
安静では指先に特記すべき所見なし
圧迫時の爪床の中部~遠位部に注目
白色とピンク色の色調変化に気づく
最終診断は二尖弁の大動脈弁逆流症
👂
独り言
心音(特にⅢ音やⅣ音などの低調音)は,何度も聴いて耳に覚え込まします.視覚も同じです.何度も見ていると僅かな変化にも気が付きます.
この動画はそういった眼の練習に最適
と思われます.本例は中等度の大動脈弁逆流ですが,中等度以上なら,ほぼクインケ徴候は観察できます.
本コンテンツには大動脈弁逆流例の爪床変化が多くアップされています(
コチラ
から).爪圧迫以外の描出ワザも是非,マスターしてください.
(
松下記念病院
川崎達也)
2025-03-03
第21回 循環器Physical Examination講習会より
循環器Physical Examination講習会
は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.
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松下記念病院
川崎達也)
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