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2025-01-02

負荷心尖拍動

慢性左心不全の増悪例

😐 解説
  • 乳房下に抬起性心尖拍動 → 左室の拡大・肥大
  • 心窩部にも明瞭な抬起性拍動 → 右室負荷の疑い
  • 座位から立位の体位変換で左室の拍動は変化なし
  • 心窩部の拍動は減弱~消失(右室負荷の減少?)

💟 追加コメント
  • 本例の心尖拍動の変化をどう解釈するかは難しい.心窩部の拍動が立位に伴い目立たなくなったことは,前負荷の減少による右室負荷の低下で説明できそう.一方,心尖拍動(左室)の所見は,前負荷の減少が立ち上がりという仕事で相殺されたと考えるのがいいかもしれない.
  • 心臓の検査では負荷を積極的に併用している(心電図や心エコー,核医学,MRI,心カテなど).身体所見でも然り.負荷を併用した頚静脈評価法(負荷頚静脈)はかなり解明されてきたと個人的には思っている.今後は負荷心尖拍動の臨床的意義も調べていく必要があるかも...

松下記念病院 川崎達也)

2024-12-30

外頚静脈も大切です

息切れで来院した症例

😐 解説
  • 外頚静脈の隆起が明瞭(ほぼ怒張)
  • 深吸気負荷後は拍動が出現(矢印)
  • 心エコーで心膜液貯留+右心虚脱
  • 心膜液のドレナージを実施(血清)
😀 追加コメント
  • 心不全で重視すべきは内頚静脈で,この場合は怒張という表現は避けるべきです(内頚静脈の怒張→循環停止→死亡).しかし心タンポナーデや緊張性気胸など特殊な病態に対して,外頚静脈の怒張はいまだ有効な身体所見です.
  • 重症の心タンポナーデでは吸気負荷でも外頚静脈の怒張は消失しないことが多いと思います(むしろ悪化:自験例).しかし本例のように軽症例(血圧低下が僅かで頻脈も目立たない)では,吸気負荷で怒張は解除されるようです.
  • 本例の症状は息切れで右心不全よりも左心不全が疑われました.頚部をよくよく観察すると,顎下~頚部中央の皮膚面全体的が拍動していることに気がつきます(きっと内頚静脈の拍動).おまけ 😙 耳垂にフランク徴候もあり

👉 心タンポナーデに関するの過去の投稿は コチラ(PC版なら右下欄から選択可能)

松下記念病院 川崎達也)

2024-12-26

Ehlers–Danlos syndrome エーラス・ダンロス症候群

エーラスダンロス症候群に関する論文が先日,出版されました(Med Genet 2024 Dec 3;36:225-234).図鑑のような体裁で臨床医にはとても分かりやすいと感じました.本ページでも取り上げておきます(全文がネットで読めます)

💚 抄録訳
  • 単一遺伝子性エーラスダンロス症候群(EDS)は、関節過可動性、皮膚過伸展性および/または脆弱性、および全身組織脆弱性を臨床的に特徴とする遺伝性結合組織疾患のグループです。現在、単一遺伝子性EDSタイプの診断を確定するためのゴールドスタンダードは、大規模並列シーケンシングによる遺伝子パネル検査です。遺伝子検査の可能性は大きく進歩しているものの、病歴、家族歴、身体検査を含む徹底した臨床評価が診断プロセスにおいて依然として重要であるため、私たちは、単一遺伝子性EDSタイプの臨床的特徴(の組み合わせ)をテキストと写真で報告し、臨床診断に役立てることを目指しています。さらに、分子診断が不可能な場合でも、臨床診断によって管理と監視を導くことができます。



- 骨格筋の特徴 -



- 皮膚の特徴 -



- その他の臨床的特徴 -

💙 命名までの遍歴
  • エーラス・ダンロス症候群という名称は,オランダの皮膚科医 Edvard Laurits Ehlers (1863-1937) とフランスの皮膚科医 Henri-Alexandre Danlos (1844-1912) に由来しています.しかしヒポクラテスは紀元前400年にこの疾患の特徴に言及し,van Meek'ren が1682年に医学的記述を残しています.1892年には Tschernogubow が発表していますが,ロシア語だったためか西ヨーロッパではほとんど見過ごされたようです.そして1901年と1908年にそれぞれ影響を受けた患者を記述した Ehlers と Danlos にちなんで,1936年に Weber がこの疾患を Ehlers–Danlos syndrome(EDS)と命名したようです.


👉 エーラス・ダンロス症候群に関するの過去の投稿は コチラ

松下記念病院 川崎達也)

2024-12-23

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です。「生きた physical examination」を体感・習得して、「感動できる」ものにしていきたいと思っています。毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


👻「フィジカル講習会」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2024-12-19

ブルブルブル

数日前から動悸が持続する症例

🐝 ハミングバード徴候
  • 吸気時に拍動があり?(呼気時なし)
  • 深吸気で内頚静脈の早い拍動が明瞭
  • 左上肢挙上で拍動明瞭化+上縁上昇
  • 最終診断は2:1伝導の心房頻拍(PAT)
  • 再発だったので後日アブレーション

 🐦 追加コメント
  • 本例は発症数日で来院されたため心不全には至っていませんでした.しかしこの状態が2週間ほど持続すると頻拍誘発性心筋症から心不全になります.その時には中心静脈圧が上昇するので安静時でもハミングバード徴候(フロッグ徴候の亜型)が明瞭に観察できると思います(自験例
  • 初期のハミングバード徴候(Hummingbird sign)を見逃さないためにも頻脈を呈する症例では負荷頚静脈評価が重要です.本例では左上肢挙上の方が,深吸気時より拍動が明瞭でした.もっとも負荷前でも吸気時には拍動が見えますが...(今回はすぐ気付きました 😤 プチ自慢)

松下記念病院 川崎達也)