労作時の息切れで受診した症例・左半側臥位で心尖部を記録
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慢性閉塞性肺疾患 COPD
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心尖拍動は左乳輪外側であるが左半側臥位であり心拡大とは判定できない(※)
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よく見ると心尖拍動の1肋間尾側で吸気時に肋間が内方に陥凹(フーバー徴候)
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肋間の内方陥凹は吸気に一致して,呼気時間の延長もすこし目立つ(気がする)
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米国の医師
Hoover CF(1865–1927)が報告(Am J Med Sci 1920;159:633-46)
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重篤なCOPD(特に肺気腫)で出現/呼吸筋麻痺を来す頚髄損傷でも出現例あり
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臨床現場
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座位で内頸静脈の拍動を認めたため安易に心不全と考えてしまいました.しかしBNP値は100
pg/mlと比較的低値で,胸部X線で肺うっ血や胸水貯留はありませんでした.スマホに記録しておいた心尖拍動の動画を見直してフーバー徴候(Hoover's
sign)に気付いたという反省すべき症例です.
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フーバー徴候の機序を説明することは意外に難しいかもしれません.気腫肺では横隔膜が平坦化(通常は上に凸)し胸腔も膨張しています.この様な状況では,吸気時の横隔膜低下に伴い下位胸腔の横径が減少するようです(CMAJ 2011;183:E133). よって下部肋骨間の側胸壁が内方に引き込まれると考えられます.
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination