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2021-06-21

😕 肺疾患?

動悸と息切れで受診した慢性左心不全症例(仰臥位で呼吸調整なし)





フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2020-11-09

😕 心不全?

労作時の息切れで受診した症例・左半側臥位で心尖部を記録




松下記念病院 川崎達也)

2021-07-12

😕 肺疾患? パート2

息切れで紹介受診した症例(端座位で呼吸調整なし)


👾 解説
  • 腹式呼吸で吸気時の腹部膨隆時に下位肋間が内方陥凹(フーバー徴候)しているため慢性閉塞性肺疾患COPDに合致する. しかし口すぼめ呼吸はなく,呼気と吸気の時間比は凡そ1:1と呼気時間の延長はないため,重篤COPDではない?
  • よく見ると呼吸パターンとは独立した拍動に気がついた(動画中の矢印).触診で心尖拍動であることを確認(抬起性であったため心肥大の疑い).拍動位置が通常よりも左(乳輪外側)かつ下方に偏位しているため心拡大も疑われた.
  • 頼みの頸静脈拍動は座位で鎖骨上に視認せず,クスマウル徴候も陰性であった.最終的な診断はCOPDを伴った心不全.いずれの病態も重篤ではなかったためか典型的な身体所見とは言えないが,両疾患の合わせ技で息切れが生じていると推察した.

💁 最近のマイブーム「フーバー徴候」に関する過去の投稿 ➜ コチラ

松下記念病院 川崎達也)

2023-05-18

扁平胸郭とフーバー徴候

激しい運動時に息切れを訴える症例

👾 解説
  • 漏斗胸ではないが胸板は薄くで呼吸は腹式
  • 吸気(腹部が膨らむ)時に肋間陥凹(矢印)
  • 心機能や冠動脈に問題はなくCOPDも認めず
  • 最終的に自覚症状は扁平胸郭に関連と判断

独り言 💤
  • フーバー徴候(Hoover's sign)は吸気時に下位肋間が内方に陥凹する現象で,通常はCOPDなどの肺疾患を示唆します(自験例).
  • 心不全でも出現することがありますが(自験例),その頻度は息切れ症例の3%程度と稀です(Rev Clin Esp 2005;205:113-5
  • 本例では扁平胸郭があり吸気時の胸郭の拡張が不十分であるため,本人が以前から無意識に腹式呼吸を行っていたのかもしれません.
  • ただし自転車エルゴメータでは運動耐容能は年齢相応に保たれていたため,特に追加加療(呼吸指導を含む)は行いませんでした.

松下記念病院 川崎達也)

2023-10-12

今週の一枚 🎯

労作時の息切れで来院した男性(座位)

😎 解説
  1. 吸気時の肋間陥凹(フーバー徴候:矢印)➜ 後に慢性閉塞性肺疾患 COPD と診断
  2. 男なのに乳房の発達(女性化乳房:矢頭)➜ 前立腺ガンでホルモン療法中が判明
  3. 心尖拍動の外方偏位+抬起性拍動(○)➜ 肥大型心筋症による慢性心不全と診断

😁 追加コメント
  • COPDでは肺容積が増加して滴状心になるので,心拡大は一般的ではありません.しかし心不全(NT-proBNP上昇や肺水腫,胸水貯留)を合併するようになると心胸郭比(CTR: cardio thoracic ratio)は増加してきます(Int J Chron Obstruct Pulmon Dis 2018;13:217-29).
  • 肥大型心筋症では硬い心室が特徴のため心室拡大は稀です(拡張相・エンドステージHCMを除く).しかし心不全を伴うHCMでは心房拡大の結果,心拡大を呈することが決して少なくありません.左房容積は心尖拍動の左方偏位に最も関連する因子です(J Cardiol 2021;78:136-41).

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ松下ERランチ・カンファレンスの名物コーナー)

松下記念病院 川崎達也)

2023-03-09

頸部は心のみにあらず

息切れで来院した症例(端座位)

🐦 解説
  • 胸鎖乳突筋と斜角筋の肥大 ➜ 慢性閉塞性肺疾患COPDに合致
  • 明瞭な鎖骨上窩と吸気時の陥凹 ➜ 陥没呼吸もCOPDに矛盾せず
  • 気管短縮(甲状軟骨下縁〜胸骨上縁:通常は>3横指 or 4cm)
  • 鎖骨上窩に呼吸と無関係の周期的な陥凹 ➜ 中心静脈圧の上昇
  • 座位で視認する外頸静脈が吸気負荷で明瞭化(クスマウル徴候)
  • 吸気保持で内頸静脈の拍動上縁も上昇 ➜ 心不全に矛盾しない
  • 本例はCOPDに伴う第3群の肺高血圧症(肺性心)と診断した

😀 ひとり言
  • COPDには多くの身体所見が知られています.本例で認めた所見以外にも,フーバー徴候や樽状胸郭,るい痩,口すぼめ呼吸,呼気相延長などがあります.ただしこれらの身体所見はるい痩を除き重症化するまで出現しにくい点に要注意
  • 肺疾患による心不全を以前は肺性心cor pulmonale)と言っていましたが,最近ではあまり耳にしません.Google Scholar検索でも”肺性心”は1980-2000年に1270件,2000-2020年は800件と減少してます.
  • cor はラテン語も同じ綴りで心臓を意味するそうです.命名はWPW症候群の発見者として有名なPD WhiteJAMA 1935;104:1473-80).最近は第3群PHと呼ぶことが多くなってきましたが,あまり味わいがないような...

松下記念病院 川崎達也)

2023-06-15

左上肢挙上:

前日にERで喘息と診断された咳嗽症例

😈 解説
  • 座位で右頸部に内頸静脈の拍動(陥凹)あり(凹矢印)
  • 咳嗽が強いため吸気負荷の代わりに左上肢の挙上負荷
  • 負荷後は頸部陥凹が(おそらく)隆起に変化(凸矢印)
  • 心音で明瞭なギャロップを確認して急性心不全と診断

👾 コメント
  • 深吸気止めで内頸静脈の陥凹が隆起に変化(ランチシ徴候)する症例は散見されます(自験例).本例の主訴は咳嗽であり呼吸負荷が難しいため(多くは咳き込む),代わりに左上肢負荷を行いました.もちろん肝頸静脈逆流(Hepatojugular reflux test)も施行可能ですが,臥床になるためやはり患者さんは咳き込んだと思います.
  • 本例は前日の救急外来で喘息による咳嗽と診断されていました.重症喘息例の頸静脈拍動の代わりに陥没呼吸を認めることがあります(自験例).重症COPDでは下位肋間に内方陥凹(フーバー徴候)を認めます(自験例).もちろん肺疾患を合併した心不全症例もありますが(自験例),安易な咳喘息の診断は慎む必要があります.

👿 上肢挙上負荷の過去投稿 ➜ コチラ

松下記念病院 川崎達也)

2021-12-23

沈黙の臓器

息切れで受診した在宅酸素中のCOPD症例

💣 解説
  • 腹式呼吸+ビア樽状胸郭はCOPDに合致(ただしフーバー徴候はなし)
  • 右季肋部〜心窩部(付箋の貼り付け部)に拍動あり ➜ 肝拍動の疑い
  • 拍動のパターンは収縮期に隆起(付箋よりも腹壁の方が分かりやすい)
  • 肝拍動は基本的に頸静脈拍動に類似 ➜ 巨大V波(三尖弁逆流)の疑い
  • 最終的にCOPDによる肺性心に関連した重症の三尖弁逆流と診断した

  • 身体所見は「頸静脈 ➜ 傍胸骨 ➜ 心尖拍動 ➜ 心音」と進めることが多いと思います.よって循環器外来では腹部はついつい忘れがちです(😯僕だけ?)しかしお腹の診察(特に初診時)はとても大切です.これは腹部大動脈瘤を見つけるチャンスだからです(自験例).外来で長年フォローしてる心疾患の患者さんが,腹部動脈瘤の破裂で死亡する悲劇は主治医として何が何でも回避!
  • 実際に肝拍動が診断にとても有用だったケースはあまり経験しません(収縮性心膜炎の自験例).その他の身体所見(頸静脈や心音など)で診断できることが多いからかもしれません.しかしフィジカルを愛する医療従事者としては,肝臓のアピールには是非,気がついてやりたいものです.とてもおしゃべりな心臓(心音・心雑音=心臓語)と違って,肝臓は沈黙の臓器なのですから…

松下記念病院 川崎達也)

2022-05-23

座位心尖拍動の呼吸負荷

肥大型心筋症に発作性心房細動が発症した症例

🐳 解説
  • 左乳輪の下に心尖拍動を認める(矢印).その拍動は早く不規則であり,頻脈性の心房細動と矛盾しない.興味深いのは深吸気では拍動が不明瞭になること.吸気で胸腔が拡大するため心尖拍動が不明瞭になることは直感的にわかりやすい.しかし吸気時に右室拍動が明瞭化する症例があるため要注意(自験例).また肺疾患によるフーバー徴候が合併することもある(自験例). 

🐋 ひとり言
  • 端座位で心尖拍動を観察している時に,深呼吸や深吸気保持をよく行ってもらいます.これは心尖拍動の観察が意外に難しいからです.深吸気で心尖拍動をリセットしておくと,呼気時に出現した微妙な拍動に気がつきやすいと個人的に思っています.僕の好きな「天然とんこつラーメン一蘭」のゆで卵と同じ 🍜 ラーメンをいただく前に味覚を一旦リセットして美味に集中 😁

松下記念病院 川崎達也)

2021-09-09

心+肺=心配です

消化器疾患の術前症例:端座位の左前胸部(通常呼吸)

🐌 解説
  • 左乳輪下に周期的な心尖拍動 ➜ 2肋間にわたるため心拡大(基準
  • 心尖拍動(本例は陥凹)の持続時間が長く抬起性 ➜ 心肥大もあり
  • よく見ると心尖とは独立した肋間の陥凹(矢印)➜ フーバー徴候
  • 本例の最終的な診断は陳旧性心筋梗塞+高血圧性心疾患+肺気腫
  • 周術期リスクは低くないが十分に説明し同意を得た上で手術施行

🐑 独り言
  • 心尖拍動が収縮期の陥凹(systolic retraction)であったため収縮性心膜炎が一瞬頭をよぎりました.しかし頸静脈にフリードライヒ徴候クスマウル徴候典型的な自験例)はなく,ノック音も聴取したなかったため今回は冷静でした(前回の失敗
  • COPDに心疾患が合併する場合,心尖拍動は収縮期陥凹が稀ではないかもしれません.肺が過拡張しているため陥凹として視認される方が理にかなっています.ただしCOPDでは心尖拍動は観察されない or 心窩部へ移動していることが基本です(

松下記念病院 川崎達也)

2025-06-05

息切れ:心 vs 肺

労作時の息切れで受診した症例(座位)

解説 💨
  • 胸鎖乳突筋の肥大・発達(他部は陥凹)
  • 吸気で頚部が全体的に陥凹(陥没呼吸)
  • 気管短縮と呼気時間延長もありそう?
  • 通常呼吸で内頚静脈の拍動は視認せず
  • 吸気負荷でも内頚静脈の拍動は見えず
  • 最終診断は肺疾患(非心原性)息切れ

肺疾患の身体所見 💦
  • 慢性閉塞性肺疾患 COPD などの肺疾患では,胸鎖乳突筋の肥大・発達,気管短縮,呼気時間延長,陥没呼吸フーバー徴候などが知られています.
  • 経過の長い例では胸はビール樽状胸(barrel-shaped thorax)や後彎(kyphosis)を伴うこともあります.もっとも日本人では稀なようですが...
  • 胸郭の伸展性低下も重要だそうです.親指を棘突起に向けて手をあて深吸気による可動性を確認(正常では4~6cmは拡大するがCOPDでは低下します)


松下記念病院 川崎達也)

2023-01-12

るい痩と右室拍動:COPD症例

息切れで来院した症例の端座位

🐇 解説
  • 心窩部に周期的な拍動(心尖拍動は視認せず)
  • るい痩が目立ち腹式呼吸をしている ➜ COPD?
  • 口すぼめ呼吸はないがフーバー徴候あり(矢印)
  • 頸静脈は座位陰性で心エコー図で右室負荷なし
  • 長期の喫煙歴もありCOPDによる息切れと判断

 🐀 つぶやき
  • 心窩部の周期性拍動は拡大した右室が前胸部と広い範囲で接するために顕性化した右室拍動が多いと報告されている
  • 本例には右室負荷はなく,るい痩で右室拍動が目立ったと思われた(つい先日,漏斗胸の右室拍動も経験 ➜ コチラ
  • COPD例でるい痩が多いのは呼吸筋エネルギー消費の増加(健常者36~72kcal/日の10倍が必要)など(過去の投稿

松下記念病院 川崎達也)