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2021-07-05

”最強”負荷法

息切れで来院した症例

👻 解説
  • 立位では頸静脈の拍動は目立たないが,しゃがみこみ(蹲踞姿勢)で内頸静脈の陽性拍動が出現(矢頭)
  • その後に追加した深吸気で,内頸静脈の陽性拍動は顎下まで上昇した(矢印)➜ 広義のクスマウル徴候陽性
  • 耳垂にある45度の皺にも注目 ➜ フランク徴候またはearlobe creaseと呼ばれ虚血性心疾患を示唆する
  • 本例は冠動脈バイパス術の既往があり慢性左心不全の増悪と診断 ➜ 利尿薬の追加と減塩指導を行い2週間後に再診

👾 独り言
  • 蹲踞負荷は前負荷(静脈還流)と後負荷(下肢血管抵抗)がいずれも上昇します.さらに蹲踞時にはバランスをとろうと前かがみ(前屈負荷)になる多いことが多いため,個人的にはトリプル負荷と呼んでいます(旧"最強"負荷法).
  • 今回はさらに吸気負荷を加えているため,これが外来診察室で行える"最強"の心負荷かもしれません(命名:負荷の四重奏).もちろん蹲踞負荷は膝痛などで施行できないことが少なくないので,応用範囲は限られますが…

松下記念病院 川崎達也)

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