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2025-04-28

フィジカルクイズ(No. 1 & 2)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週金曜日に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2025-04-24

二重罠

息切れでERに搬入された男性(座位)

😐 解説
  • 頚部に周期的に陥凹あり(矢印)
  • 呼吸と同調しているため陥没呼吸
  • 頚静脈の明らかな拍動は視認せず
  • 最終診断は初発心不全(PEF, CS1)
👺 つぶやき
  • 本例の肥満の程度は軽度ですが,顎下や顎のラインが不明瞭なことに要注意.このような症例では,内頚静脈の拍動が観察困難なことが少なくありません(同様の自験例).これは内頚静脈が深部静脈であり,胸鎖乳突筋を介した皮膚面の拍動として描出される以上,不可避です.
  • 陥没呼吸は努力呼吸時に出現する身体所見の一つで,喘息発作時(自験例)や慢性閉塞性肺疾患(COPD)症例(自験例)などの呼吸器疾患で出てくることが多いと思います.本例ではしっかり見ないと「頚部の陥凹で心不全」となり結果は正解ですが...(プロセスは🙅)


松下記念病院 川崎達也)

2025-04-21

感染性心内膜炎:末梢サインの頻度

  • 感染性心内膜炎の身体所見では心雑音と末梢サインに注目します.心雑音や音質変化は感染性心内膜炎を示唆しますが,初診の症例でその判定は困難です.心雑音を認めない症例も3~4割あります(Eur Heart J 2023;44:3948-4042).
  • 一方,末梢サインの感度は低めですが,とても高い特異度を有しています.月間心エコーで原稿依頼を受けたときに,その出現頻度を調べたのでここに記載しておきます(調査した論文は心エコー 2025;26:22-6を参照してください).

末梢サイン 出現頻度
点状出血 0.6~30%
オスラー結節 1.9~10%
ジェインウェイ病変 1.6~10%
スプリンター出血 10~26%

😊 おまけ
  • 感染性心内膜炎のDuke診断基準が2023年に更新(Duke ISCVID基準:Clin Infect Dis 2023;77:518-26)され,末梢サインは臨床診断の小基準として今回も明記されています.心雑音に関しては新規の逆流性雑音に限ると記載
  • 末梢サインは,出現や消退が病期や病勢に影響され,塞栓に由来する所見は左心系の病態に限られますが,高い特異性を有しています.鑑別診断に感染性心内膜炎が含まれる病態ではエコー前に是非,確認したい所見です


松下記念病院 川崎達也)

2025-04-17

今週の一枚 🎯

大動脈瘤を指摘された男性



松下記念病院 川崎)

2025-04-14

フィジカル検定

  • 第22回循環器Physical Examination講習会(2025.3.22-23)で実施した特別企画『フィジカル検定』の解答ホームをリンクします(主催者の許諾を取得済).
  • 実際の問題(身体所見)は供覧できませんが,解答フォームだけでも役立つかと思います(正答と簡単なフィードバックあり).よろしければご覧ください.



松下記念病院 川崎達也)

2025-04-10

夢叶う Dreams come true

  • 2025年3月28日に新しい心不全ガイドラインが公開されました.そして遂に頚静脈の座位定性法が記載されました(下の上図).おまけに吸気負荷の有用性も併記されています.その部位で引用されているのが2論文です(下の下図).
  • 最初の論文は頚静脈の座位定性法を(初めて?)報告したフィンランドのSinisaloらの報告です(Am J Cardiol 2007;100:1779-81).もう一つはなんと座位定性法に吸気負荷を加えた当院の報告です(Am J Cardiol 2022:170:71-5).


🕔 特別な朝
  • この日は(いつも通り)5時前に起きて,真っ先に日循ホームページを覗いてみました.そして更新された心不全ガイドラインの図と文言を見てとても驚きました.予想を大幅に上回る改定で,おまけに引用論文も最高です.この変更は前もって何も知らされていませんでした(僕レベルでは当然😅)
  • 早速(おそらく今回の改定に尽力していただいた)先生にお礼のメールをしました.すると5分後に「いままで使われていなかったことが問題...これから広めていきましょう」とお返事をいただきました.時計はまだ6時にはなっていません.とても素晴らしい朝になりました.本当に夢が叶いました.


松下記念病院 川崎達也)

2025-04-07

2024年度SNS解析:循環器Physical Examination講習会

  • 2024年3月に開催された循環器Physical Examination講習会の動画切り抜きを毎週リリースしてきました.その一年間のデータを解析しました.
  • SNSの4大プラットフォームで,計139,786再生されていました.1動画あたりでは平均2,589再生(最小1,125~最大11,877)でした.
  • ニッチな領域であるためSNSアルゴリズムにハマってバズることはないと思われますが,多くの方にご覧いただけたことに感謝いたします. 

😀 SNSごとの解析
  • X (Twitter)➜ 計93,664再生 平均1,735(523~11,000)
  • Instagram ➜ 計6,763再生 平均125(22~808)
  • TikTok ➜ 計27,051再生 平均501(37~1,211)
  • YouTube ➜ 計12,308再生 平均228(22~618)

- 2024年度の最多再生数動画:計11,877再生 -

松下記念病院 川崎達也)

2025-04-03

\負荷頚静脈法:新たな心不全評価/

  • 日本医事新報に総説を執筆させていただく機会を得ました(感謝)。頚静脈を用いた心不全診療で、私の知識と経験のすべてを盛り込みました。
  • 選び抜いた動画19点と図15点(自作)を含む全24ページの温故知新です。同時に電子書籍としても発行されました。よろしければぜひご覧ください。


(電子書籍⭐️コチラ) 

😊 追記 
  • 日本医事新報は1921年(大正10年)創刊で、毎週土曜日に発行されています(定価1,100円)。現在する商業医学誌では最古の一つで、発行部数はなんと39,500部(週刊)
  • ちなみに日本内科学会雑誌の第1巻は1913年発行で、毎月10日に刊行(臨時増刊号を含め年間13回の刊行)。発行部数は2022年2月10日時点で10万9,300部だそうです。

松下記念病院 川崎達也)