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舞台裏
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はじめに米国の雑誌に投稿しましたが,あっさりreject.でもこれは想定内でした.(内容はともかく)アプリの掲載はとてもリスクがあるからです(スパムを組み込むことも技術的に可能).今回の雑誌にも期待せずに投稿しました.3日後に返事があったので「やっぱりダメだな」と思っていたら,ともて高評価.実際にその1週間後(投稿10日後)に出版されました.
- 本邦の心不全ガイドライン(2025.3更新)への収載が一つ目の「夢叶う Dreams come true」で,今回の海外展開が二つ目の「夢叶う Dreams come
true」です.そしていつか,海外のガイドライン収載へ…これは三つ目の「夢叶う Dreams
come true」になるでしょうか😃
久しぶりに外来を受診した心不全例(座位)
🐤 解説
- 息遣いが荒く頚部拍動の有無は判定難
- 吸気で鎖骨上窩に明瞭な拍動(矢印)
- 本例はHFrEFで怠薬後に息切れを自覚
- その後の精査で心不全増悪を確認した
🐣
独り言
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負荷を併用した頚静脈の座位定性法(シンプル頚静脈)では,安静時に拍動を認めれば負荷を追加する必要はありません.ただし本例のように頚静脈の拍動なのか呼吸に伴う変化なのか分からない症例を時々経験します.そのようなときには「とりあえず負荷をかけてみる」のがいいと思います.特に吸気負荷なら手間もかからず,負荷に対するリスクもほとんどありません.
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循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた
physical
examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
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2025年4月から毎週金曜日に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.
👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は
コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
心不全で入院中の男性
👂 心臓悪液質(Cardiac Cachexia)
- 下腿の骨格筋量と脂肪の減少
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指輪っかテスト陽性(smaller)
- 男性で下腿毛(すね毛)なし
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本例は重症の心不全(Stage D)
🌟 追加コメント
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悪液質は,悪性腫瘍をはじめとして,うっ血性心不全や関節リウマチ,後天性免疫不全症候群など,様々な疾患で認められる.その定義:12カ月間での5%以上の体重減少を認めるもの,もしくはBMI<20に加えて,以下の5項目のうち3項目以上を満たすもの(①筋力低下,②全身倦怠感,③食欲不振,④体脂肪率の減少,⑤生化学指標の異常所見:炎症マーカーの上昇
[CRP>0.5mg/dL,IL-6>4.0pg/mL),貧血Hb<12g/dL,血清アルブミン値の低下Alb<3.2g/dL])
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悪液質の体重減少は,負のエネルギー・
窒素バランスを背景とするが,絶食や飢餓による単純な低栄養や,加齢による筋肉量減少,うつ病,吸収障害,甲状腺機能低下症などとは異なる病態と考えられている.心臓悪液質の機序は下図のように考えられているが,浮腫によりしばしば体重の減少が目立ちにくく,骨格筋の減少に気付かれるのが遅れやすいことには注意が必要である.
👻「今週の一枚」の過去の投稿は
コチラ(松下ERランチ・カンファレンスの名物コーナー)
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持田製薬さんと作成している心音クイズのシーズン2 第一弾です(GROUP T inc.さんにも感謝
🙏).今回は「怠けていると言われていた若者」と「検診で心雑音を指摘された無症候例」の2症例です.現場で役立つコツにも触れています.
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今後も3ヵ月毎に2症例ずつアップする予定です(次回は2025年8月の予定).無料なのでよろしければご覧ください(※Q3以降は初回のみ簡単な登録が必要).一緒に聴診学の楽しさと奥深さを共有できれば作成者としては嬉しい限りです
😁
急に息遣いが荒くなった症例(座位)
😊 解説
- 呼吸と嚥下に伴う頚部の動きが目立つ
- 内頚静脈の拍動を判定することは困難
- 吸気負荷後も内頚静脈はやはり難しい
- しかし外頚静脈の拍動は明瞭(矢印)
- 最終診断は心房細動による心不全悪化
💁
独り言
- 本例の基礎疾患は肥大型心筋症でした.同疾患では左室コンプライアンスが低しているため,心房は常に過負荷状態です.左室への血液充満に対する心房の果たす役割が大きく,心房細動を生じたときのダメージは他の疾患より大と思われます.いわゆる「HCMでS4消失し頚静脈出現」というやつです.
- 肥大型心筋症では洞調律にも関わらずⅣ音を認めない症例が少なからず存在します.このような症例では運動耐容能が低下し(当院の臨床研究),心血管事故も多い(当院の臨床研究)と思われます.でもⅣ音が明瞭でも油断は禁物です.心房に頼る血行動態が,細動で一気に破綻することがあります.
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循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた
physical
examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
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2025年4月から毎週金曜日に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.
👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は
コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
労作時の息切れで受診した症例(座位)
解説 💨
- 胸鎖乳突筋の肥大・発達(他部は陥凹)
- 吸気で頚部が全体的に陥凹(陥没呼吸)
- 気管短縮と呼気時間延長もありそう?
- 通常呼吸で内頚静脈の拍動は視認せず
- 吸気負荷でも内頚静脈の拍動は見えず
- 最終診断は肺疾患(非心原性)息切れ
肺疾患の身体所見 💦
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慢性閉塞性肺疾患 COPD
などの肺疾患では,胸鎖乳突筋の肥大・発達,気管短縮,呼気時間延長,陥没呼吸,フーバー徴候などが知られています.
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経過の長い例では胸はビール樽状胸(barrel-shaped
thorax)や後彎(kyphosis)を伴うこともあります.もっとも日本人では稀なようですが...
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胸郭の伸展性低下も重要だそうです.親指を棘突起に向けて手をあて深吸気による可動性を確認(正常では4~6cmは拡大するがCOPDでは低下します)
心機能の評価目的で来院(座位)
👉 解説
- 座位で明瞭な心尖の拍動を認める(矢印)
- 持続時間の長い抬起性拍動で心肥大の疑い
- 拍動の最外側部は左乳輪外で心拡大の疑い
- 矢印の上下肋間にも拍動あり心拡大に合致
- 拍動は吸気で不明瞭化,呼気で明瞭化した
- 本例はLVEF 20%で遠心性心肥大を認めた
👍
現場実況
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患者さんとの初診時の挨拶前,頚静脈に注目していたが拍動を視認しなった.「心不全であっても代償されているのかな~」と思っていた.実際にご本人も,「日常生活では息切れなどの自覚症状はない」と述べた.
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しかし(動画から分かるように)荒い息遣いが気になった.こういう場合は,日常生活を無意識に制限しているか,認知症を合併してることが多い(非代償性心不全でも自覚症状がないという認知症の自験例 → ココ)
- 本例には明らかな認知機能障害はないようなので,極めて狭い範囲での生活が予想された.心不全(HFrEF)に対するGDMT(guideline-directed medical therapy/診療ガイドラインに基づく標準的治療)を開始
- 本例の心尖拍動は吸気時に不明瞭化し,呼気時に(少し?)明瞭化している.これは呼吸に伴う胸郭容積の変化を考慮すれば納得いく変化.心尖拍動の評価時には,頚静脈と異なり呼吸負荷は不要(と思っています)