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2021-02-22

頸動脈クイズ

心不全で入院した高齢者の頸動脈


フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(松下記念病院 川崎達也)

2021-02-18

Stiff LA syndrome 左房硬化症候群?

  • 左房のコンプライアンス低下を主たる原因として血行動態の異常をきたした病態のこと
  • 肺動脈楔入圧(pulmonary artery wedge pressure; PAWP)で巨大かつ急峻なv波が特徴
  • 原因は心膜炎やリウマチ罹患,頻回アブレーション,開心術などによる左房石灰化など

下図のDに問題があり下流(A〜C)にうっ滞が生じる(通常の問題箇所はE~G)

運動に伴い容易に心房圧が上昇(A:安静時,B:15W負荷,C:30W負荷,D:70W負荷)

石灰化した左房はCoconut left atrium(ココナツの実のような左房)と呼ばれる

 😈 追加コメント
  • 心エコー図で左房拡大がないけど,ドプラ指標から左房充満圧の上昇が示唆される場合(例:E/AやE/e',PVDの著増)に思い出したい病態
  • 肺うっ血があるけどBNPが比較的低値であることもポイントの一つ.もちろん心エコー図やBNP測定の前に視診で頸静脈v波の確認ね😘
  • 重症の三尖弁逆流がないにも関わらず頸静脈の巨大v波(ランチージ徴候)が目立つ場合はStiff LA syndromeの関与があると思うが…
ランチシ
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(松下記念病院 川崎達也)

2021-02-15

簡易定性法 +プラス Part 2

息切れの増悪で来院した症例

🐸 所見の解説
  • 鎖骨上〜頸部中央に内頸静脈の規則正しい陥凹 ➜ 心不全+洞調律
  • 拍動はおそらく二峰性でx谷>y谷 ➜ 心不全あるが超重症ではない
  • 深吸気で内頸静脈の隆起が出現している ➜ クスマウル徴候が陽性
  • 深吸気中には耳下まで内頸静脈の陽性拍動が出現 ➜ ランチシ徴候
  • 耳垂に約45度の皺が存在(フランク徴候)➜ 虚血性心疾患の疑い

🐨 独り言
  • 本例には冠動脈バイパス術の既往があり,今回は慢性左心不全の増悪と診断しました.座位で内頸静脈の拍動が視認できるから(座位陽性),心不全は十分には代償されていないと判断するだけではちょっと寂しい気がします.ぜひ頸静脈の簡易定性法にフィジカルの知識をどんどんプラスしていってください( 簡易定性法 +プラス).その応用はほぼ無限かも…
  • 深吸気で内頸静脈の拍動が出現することはあっても,陥凹が陽転化することは珍しいと思います.なお本ページではGiovanni Maria Lancisiが発見した(三尖弁逆流時に出現する)頸静脈の巨大v波(cv merger)をランチージ徴候と記載してきました.しかし本邦ではランチシと記載されることが多いようなので,今回から変更しようと思います.もっともイタリア人の発音ではランチーシと聞こえますが…
フィジカル 広場 心臓 physical exam examinationランチシ
(松下記念病院 川崎達也)

2021-02-11

聴診器のおさらい


😀 補足1
  • 「聴診器で一番大切な部分はどこか?」という有名なクイズがあります.その答えは「イヤーピースの間(つまり脳を鍛える必要がある)」です(オハイオ州立大学ウォーレン教授:1958年)
  • この名言はさておき,人間の外耳道はやや前向き・下向きに走行しています.よって聴診器の金属部分を少し前向きにしておく必要があります.イアピースを耳に入れたら金属部分を内側にグッと押し込んで耳にピッタリフィットさせることも忘れずに(実はこれが一番大切)


😃 補足2
  • 膜を使った聴診後は皮膚に丸い跡が残るくらい,しっかり押し当てることが大切です.一方,ベルを皮膚に押し当ててしまうと低音成分が消失して,膜と同じ高音成分が中心になるので要注意
  • 聴診器を発明したのはフランスの医師ルネ・ラエンネックで1816年(過去の投稿).最初はベルだけであったが,1894年に米国の医師ロバート・ボウルズが高感度の膜を開発を開発した(ポケット心音の歴史より)

🉐 聴診器に関連する過去の投稿 ➜ コチラ

フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(松下記念病院 川崎達也)

2021-02-08

騙されるな!

労作時の動悸で来院した症例

😮 解説
  • 鎖骨上の動脈拍動+舌圧子で大脈・速脈を示唆 ➜ 大動脈弁逆流によるコリガン脈(Corrigan pulse)の疑い
  • しかし本例では動脈の触診で振戦(シャダー/shudder)が存在+聴診では収縮期駆出性雑音 ➜ 大動脈弁狭窄の疑い
  • 心エコー図では中等度の大動脈弁狭窄+軽度の大動脈弁逆流 ➜ 加齢に伴う動脈の蛇行による偽コリガン脈と診断

😶 独り言
  • 本例ははじめに視診で有意な大動脈弁逆流と考えて,触診と聴診では高度の大動脈弁狭窄を疑ったが,いずれも正確ではなかった.
  • 頸動脈の振戦はとても明瞭であったが,舌圧子の動きには反映されず心機図でも鶏冠は描出されなかった(指腹圧センサーはやはりすごい!)
  • 特徴的な身体所見が頭にこびりつくアンカリングバイアスや逆アンカリングバイアスには常に気をつける必要がある(臨床推論における主要な認知バイアス).
  • 本例の息切れが大動脈弁狭窄による可能性は否定できないため,定期的に心エコー図でフォロー中(高齢であるため負荷心エコー図は未施行)

フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(松下記念病院 川崎達也)

2021-02-04

指差し

心原性胸痛の可能性が低いジェスチャーは?
(左からパームサイン,レバインサイン,ポインティングサイン,アームサイン)



フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(松下記念病院 川崎達也)

2021-02-01

術後は消えると思ったのに…

大動脈弁逆流で水槌脈を認める症例が弁置換術を受けた

😙 解説
  • 術前(左動画)は正中動脈に明瞭な拍動を視認する.大動脈弁逆流による大脈・速脈を反映する身体所見で,水槌脈や反跳脈,コリガン脈と呼ばれている.
  • 本例で興味深い点は,術後の大動脈逆流が消失した後(右動画)でも水槌脈が残存している点である.正直,術後の再診時にちょっとびっくりした😮
  • その原因は不明であるが,大脈に長年晒された動脈には不可逆的な変化が生じているためだろうか?(例えば動脈の蛇行や表在化など)
  • 身体所見は特異度が高い所見が多いためルールイン(確定診断)に有用であるが,他所見との組み合わせ(心音など)が重要であることは改めて述べるまでもない.

🉐 大動脈弁逆流に関する過去の投稿 ➜ コチラ フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(松下記念病院 川崎達也)

2021-01-28

皮膚は語る

息苦しいと訴え早朝のERに搬入された症例の腹部

😱 解説
  • 皮膚に網目状の紅斑である網状皮斑(livedo reticularis)を認める
  • その本体は小動脈の狭窄および小静脈の拡張による末梢の循環障害
  • 単なる寒冷暴露でも出現するがショックやDIC,血液疾患などに注意
  • 特に本例の様に呼吸困難感を伴う場合は高度の末梢循環不全を示唆
  • 本例の最終診断は急性肺血栓塞栓症+ショックで乳酸値は98mg/dL

🚑 臨床現場
  • 本例は症状と網状皮斑から状態が極めて悪いとすぐに判断できた.肺音が清であり心不全は否定的.頸静脈も座位陰性(ただし最終診断を考えるとこれは微妙:ショック時はあまり有用でない?)
  • 胸部X線(肺うっ血なし)とベットサイド心エコー図(右室拡大+マッコーネル徴候)から急性肺血栓塞栓症と診断してヘパリンとtPA(モンテプラーゼ)をER室で投与した
  • 状態が少し改善後に造影CTを行い診断を確定(深部静脈血栓も合併).不安定な状態でCT室への安易な移動は出来るだけ回避する必要がある(死のトンネル).ICU入室時には網状皮斑は消失

フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(松下記念病院 川崎達也)

2021-01-25

大砲(キャノン)

息切れで来院した症例

🐝 解説
  • 頸部に規則正しい隆起(画質不良ですいません 🙇)
  • 陽性波は指で容易に圧迫できた ➜ 内頸静脈の拍動
  • Ⅰ音または橈骨動脈拍動の直前に出現 ➜ 頸静脈a波
  • 座位で明瞭なa波といえば巨大a波(cannon a wave)
  • 本症例の最終診断は2:1伝導の房室ブロックであった

🐞 巨大a波
  • その機序は三尖弁の閉鎖中に心房収縮が生じて,頸静脈に逆流するためである.3度房室ブロックによる巨大a波が有名であるが(自験例),P波がQRS直前に生じる不整脈であれば,あらゆる病態で出現する(心室期外収縮の自験例)
  • 巨大a波の規則性と出現頻度である程度の鑑別は可能と思う(完全房室ブロックや心室期外収縮なら不規則で稀/2:1房室ブロックなら規則的で頻).ウェンケバッハ型の2度房室ブロックも挑戦したことがあるがこれは難しい(自験例)
🉐 不整脈に関する過去の投稿 ➜ コチラ(WEB版なら右欄からも選択可能)
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(松下記念病院 川崎達也)

2021-01-21

心臓番外編

中学生(サッカー部)が左膝痛を訴えて来院


(投稿者 川崎)