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2022-11-03

論文 🏆 if you miss the goiter…😱

  • 当院の初期研修医 熊田先生が循環器内科で経験した症例が出版されました
  • 労作時の息切れで受診 ➜ 心エコー図で肺高血圧(推定収縮期圧50 mmHg)
  • 頻脈はないが甲状腺の軽度びまん性腫脹あり ➜ 最終的にバセドウ病と診断
  • 心肺疾患や血栓症なし ➜ 肺高血圧症のダナポイント分類第1群または第5群
  • 本例は甲状腺治療のみで肺動脈収縮期圧は経時的に低下して最終的に正常化


😀 臨床現場
  • 肺高血圧のガイドラインには第5群として①血液疾患(慢性溶血性貧血,骨髄増殖性疾患,脾摘出),②全身性疾患(サルコイドーシス,肺組織球増殖症,リンパ脈管筋腫症),③代謝性疾患(糖原病,ゴーシェ病,甲状腺疾患),④その他(腫瘍塞栓,線維性縦隔炎,慢性腎不全,区域性肺高血圧)の4つが記載されています.
  • 本例では「甲状腺疾患をたまたま合併した第1群肺高血圧」(共に若い女性に多い)と「甲状腺疾患が誘発した第5群肺高血圧」が考えられました.甲状腺の治療と並行して,肺高血圧の特異的薬物治療(プロスタサイクリン経路・エンドセリン受容体拮抗薬・一酸化窒素経路)の導入の要否を判断する必要があります.
  • 本例では(患者さんと協議の上)甲状腺治療のみを開始しました.肺高血圧が特異的薬物治療なく消失したため,「甲状腺疾患が誘発した第5群肺高血圧」と考えられました.肺高血圧と甲状腺疾患が合併した場合,17症例中16例で甲状腺治療のみで肺高血圧が正常化したという(すごい😮)報告があります(Angiology 2006;57:600-6).

👿「論文」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2020-12-10

頸静脈確認のついでに…

心不全のフォローで来院した症例



松下記念病院 川崎達也)

2020-08-31

心不全?

咳嗽で来院した症例の頸部動画(呼吸調整なし)




フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2023-04-10

ペンバートン徴候 Pemberton's sign

  • 両腕を垂直挙上したときに出現する一連の身体所見と自覚症状
  • 由来は英医師 Hugh Pemberton の報告(Lancet 1946;248:509
  • 顔面うっ血やチアノーゼ,呼吸困難感などがあれば陽性と判断
  • 甲状腺腫や縦隔腫瘤などによって生じる血管の圧迫がその原因

甲状腺腫大の77歳男性(図Cの矢印は気管偏位を示す)

甲状腺腫20年の病歴を持つ58歳女性

📺 おまけ
  • 上記の2症例はともにNEJMに掲載されています.いずれも今世紀ですが,2018年掲載の上段の症例には動画があり時代の進歩を感じますココから動画参照)
  • 下段の症例は2004年掲載で,当時はまだ動画共有システムがありませんでした,ちなみに YouTube は2005年設立で最初の投稿動画は Me at the zoo(ジョード・カリム投稿)

(投稿者 川崎)

2025-08-25

Rosenbach sign ローゼンバッハ徴候

  • 大動脈弁逆流症で出現する右上腹部の拍動(肝臓の収縮期拍動)
  • 由来はドイツの医師Ottomar Ernst Felix Rosenbach(1851–1907)
  • 報告はÜber arterielle Leberpulsation. 1878:4:498-500(コレ?
  • 甲状腺機能亢進で出現する閉眼時の眼瞼の微細な震えも同名徴候

 

😁 おまけ
  • 個人的には甲状腺クリーゼの若者で肝拍動を視診できたことがあります.もちろんこれもローゼンバッハ徴候(Rosenbach sign)と呼んでいい? 

松下記念病院 川崎達也)

2021-10-21

フィジカル三原則 🙈 🙉 🙊

下腿浮腫で受診した高齢者の指爪



松下記念病院 川崎達也)

2025-02-06

頚静脈の座位定性法も無敵ではありません

鼠経ヘルニア術前に心電図異常を指摘された症例(座位)


  • 息切れなど心不全を示唆する症状はないが,BNP値は150 pg/ml程度に上昇していた.心エコー図には特記すべき異常所見はなし.
  • 心不全の有無を判定するため頚部を観察したが,大きな腫瘍に占拠されていた.橋本病による長い治療歴あり(現在はeuthyroid)
  • 心音でも心不全を示唆する所見(Ⅲ音やⅡ音肺動脈成分の亢進など)はなし.日常生活から判定した運動耐容能も保たれていた.
  • 胸部圧迫感の自覚はなく,冠危険因子も高血圧のみ.最終的に手術に支障はないと判断して,紹介元の外科医に返書を作成した.
  • 稀ながら頚静脈の座位定性法が困難が状況がある.甲状腺疾患による甲状腺腫肥満猪首,座位姿勢の困難例などが相当する.

松下記念病院 川崎達也)

2024-04-11

今週の一枚 🎯

肥大型心筋症で通院中の患者さんから相談を受けました

💅  爪甲そうこう剥離症(Onycholysis)
  • 爪剥離は冬に基部から始まり上方へ進行
  • 夏には自然に治癒(この数年繰り返し)
  • 服用薬はなくⅣ音を除き身体所見は正常
  • 栄養や甲状腺機能を含む血液検査は正常
  • 皮膚科的には爪甲剥離を除いて異常なし
  • 職業は通常デスクワークで寒冷刺激なし

👋 本態性爪甲剥離症(Idiopathic onycholysis)
  • 爪甲剥離症の原因としては,感染症(真菌など),乾癬,外傷または損傷,薬物反応(テトラサイクリンなど),栄養不良,甲状腺疾患,紫外線暴露,刺激性反応などがある.
  • 本例は特発性爪甲剥離症(Idiopathic onycholysis)と診断したが,爪甲剥離症が季節的なことから,冬の低温多湿などの環境条件が病状の悪化に関連している可能性がある.
  • 爪甲剥離には下図に示すように様々な型があるが,いずれも爪の先端~中央に生じていることに注目.本例は爪床基部から生じているようであるが,その原因は不明であった.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ松下ERランチ・カンファレンスの名物コーナー)

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-14

🏆 論文

  • 循環器内科の本田先生が執筆されたケースレポートが出版されました
  • 収縮期雑音を呈した動脈管開存(PDA)の一例です(連続雑音なし)
  • 軽度肺高血圧のみでEisenmenger(アイゼンメンジャー)症候群なし
  • 心エコー図では拡張期にも短絡シグナルが描出されますが雑音なし

🎉 PDA雑音
  • PDA患者の典型的な雑音といえばもちろん(第2音で途切れることなく持続する)連続性雑音です。本例のような大動脈-肺動脈シャントに加えて、動静脈シャント(冠動脈動静脈瘻、右心室へのバルサルバ洞動脈瘤破裂など)や動脈および静脈の流れの変化(静脈雑音乳腺雑音甲状腺雑音など)があります。
  • 肺高血圧を伴うと拡張期雑音が消失することは理にかなっています。ただし本例の肺高血圧は軽度でした(平均圧28 mmHg、1.4~2.1 WU)。本例では収縮期雑音のみを聴取かつ記録した正確な原因は不明ですが、貧血や肝硬変などの併存疾患が非典型的なPDA雑音に変化させたと考えるのが妥当でしょうか?
  • Eisenmenger患者にみられるように、大動脈圧と肺動脈圧の平衡例では、雑音が完全に消失し無音性PDAになります(一部の症例では拡張期雑音のみ)。PDA雑音の性状は、肺動脈内のジェットの方向によっても変化するようです。本論文の考察ではこの辺りを(少し)深堀したので興味がある方はご覧ください。


👉「論文」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2025-04-17

今週の一枚 🎯

大動脈瘤を指摘された男性



松下記念病院 川崎)

2022-10-03

Rachitic Rosary くる病念珠

  • Rachitic(発音:rəkítik)くる病の/Rosary(発音:róuzəri)宗教の数珠(じゅず)
  • Ca欠乏による石灰化欠如と肋軟骨関節軟骨の過成長で,肋骨骨幹端が増大した状態
  • くる病や骨軟化症,副甲状腺機能低下症などで出現して,肋骨念珠とも呼称される


👿 頭の整理
  1. なんらかの代謝異常によって発症した骨の石灰化障害のうち,成長軟骨帯閉鎖以前に発症するもの(つまり小児)をくる病(rickets),骨端線閉鎖が完了した後の病態(つまり大人)を骨軟化症(osteomalacia)と呼んでいる.
  2. ①ビタミンD欠乏性(摂取 or 日光不足),②ビタミンD依存性(遺伝性:1型=腎臓でビタミンD活性化の酵素異常/2型=ビタミンDの受容体異常),③低リン血症性(摂取不足,腸での吸収不足,腎臓での再吸収不足,血中から骨や細胞への過剰移動)に大別
  3. 英名 rickets の語源はギリシャ語の背骨を意味する rhakhis に由来している.一方,芳名のくる病は,背中が曲がる状態を表す漢字の佝僂または痀瘻からきているらしい.洋の東西を問わず背中に由来している点は興味深い.

松下記念病院 川崎達也)

2021-05-20

力加減が大切です

倦怠感を訴える症例(指先を少しテーブルに押し当ててもらいました)

👉 解説
  • 押し当て過ぎのビデオ前半では爪床の近位と遠位部が各々,赤と白に固定
  • 程よい力加減になったビデオ後半では,爪床の赤部分が周期的に白く変化
  • これはクインケ脈(Quincke's pulse)で脈圧の開大した大脈・速脈を反映
  • 心エコー図では高度の大動脈弁逆流が観察された(甲状腺機能亢進なし)

😶 独り言
  • クインケ脈(Quincke pulse)が何もせずに観察できることは極めて稀で(個人的には経験なし),通常は患者さんの爪先を自分の指で少し抑えて観察する(自験例).本例のように患者さん自ら指先を机に押し付けても観察できるが,力が一定しないと偽陽性になることもあるため要注意(偽クインケ脈).
  • ドイツの医師 Heinrich Quincke 先生が約150年前に発見したこの所見は有名であるが,臨床的意義は微妙.高度の大動脈弁逆流でも出現しない症例が多く,偽陽性も稀ではない(Ann Intern Med 2003;138:736-42).身体所見の超人サパイラ先生も臨床的には有用でないと結論づけている(South Med J 1981;74:459-67).
  • サパイラ先生の名著”Sapira's Art and Science of Bedside Diagnosis"には大動脈逆流で有名だけど無意味な身体所見(useless signs)として,クインケ徴候とMayne's sign(メイン?徴候:腕の挙上による拡張期血圧の15mmHgを超える低下)の二つが記載されている(312ページ).
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2025-06-19

今週の一枚 🎯

心不全で入院中の男性



松下記念病院 川崎)

2021-05-06

👴 歴史クイズ

(Public Domain)


松下記念病院 川崎達也)

2023-03-16

下腿浮腫:圧痕の有無と回復時間

下腿浮腫で紹介受診した症例

🐤 解説
  • 靴下を脱いだ時点でゴム跡(sock marks)➜ 浮腫の疑い
  • 脛骨前面を母指を用いて5~10秒間,約5mmの深さで圧迫
  • 圧痕 ➜ リンパ浮腫・甲状腺機能低下・蜂窩織炎は否定的
  • 圧痕回復の遅いslow edema(≧40秒)➜ 低ALBは否定的
  • 最終的に本例のpitting edemaの原因は心不全と診断した

🐦 たかが浮腫,されど浮腫
  • 浮腫とは細胞外液が血管外の間質に生理的な代償能を超えて過剰に貯留した状態と定義され,その原因は多岐に渡ります.
  • 主な原因は,静水圧の上昇(A),膠質浸透圧の低下(B),血管透過性の亢進(C),リンパ系の還流障害(D)

松下記念病院 川崎達也)

2023-08-31

バンザイはダメでした 😓

慢性左心不全の増悪が疑われる症例

🐥 解説
  • 座位で頸部に内頸静脈の2峰性陥凹(中心静脈圧の高度上昇)
  • 吸気で内頸静脈の陥凹は隆起(ランチシ徴候)に変化(矢印)
  • 両側の上肢を挙上するとシャツの襟が頸部を隠してしまった
  • 慌てて襟元を覗いてみたがやはり頸静脈の拍動は確認できず

🐤 コメント
  • 上肢挙上は吸気よりも強い負荷になることが少なくありません.吸気負荷は前負荷の増大が中心ですが,上肢挙上負荷は上肢の静脈血液の還流(前負荷増大)に加え,挙上という仕事(心拍数増加を含む),呼気時間の延長(胸腔内圧上昇)などが加わるためと思われます(過去の投稿).
  • 本例では吸気負荷で陽性波(巨大v波/cv merger)が出現したため,過剰負荷にならないか少しヒヤヒヤしながら上肢挙上を追加しました.しかし両手をバンザイしてもらったら服がせり上がって頸静脈が見えなくなりました.急いで服をずらしましたが頸静脈の拍動は確認できませんでした.
  • 単なる視界不良でなく,ペンバートン徴候(Pemberton's sign)と同様の機序が働いているのかもしれません.拡大した両側の頸静脈が万歳ポーズで圧迫された結果,頭部からの静脈還流が減少しそうです.顔面うっ血が生じないのは甲状腺腫大や縦隔腫瘍と異なり完全閉塞にならないため?

松下記念病院 川崎達也)

2022-03-24

肘も語っています

二尖弁による高度の大動脈弁逆流を有する症例


💪 解説
  • 肘伸展時に左肘窩内側に拍動(矢印)➜ 肘屈曲で拍動はより明瞭になっている
  • 拍動は触知で明らかに動脈性 ➜ 水槌脈反跳脈コリガン脈と呼ばれる所見
  • 大脈・速脈を示唆し大動脈弁逆流で有名(甲状腺機能亢進症や高度貧血でも有)

😉 独り言
  • 高度の大動脈弁逆流ではほとんどの症例で観察可能だと思います.軽く曲げると描出が容易になります(別の自験例
  • 加齢に伴う動脈の蛇行+表在化による偽コリガン脈には要注意.この場合は肘なら伸展した方が見やすいと思います

🉐 関連投稿(大動脈逆流に関連する他の身体所見)

フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2023-01-30

心疾患も合併することがあります 😶

💙 アルカプトン尿症(Alkaptonuria)
  • 原因:ホモゲンチジン酸-1,2-ジオキシゲナーゼの酵素欠損による常染色体潜性[劣性]遺伝疾患
  • 診断:尿中ホモゲンチジン酸の増加(24時間尿で通常20~30mgが1〜8gへ増加)➜ 遺伝子検査
  • 頻度:米国の発症率は約25万人に1人,スロヴァキア北西で頻度が高い(およそ19,000人中1人)
  • 三徴:暗褐色尿または放置後に暗褐色尿,色素沈着(30歳〜),脊椎・大関節の関節炎(20歳〜) 
  • 合併大動脈弁や僧帽弁の石灰化・逆流,大動脈拡張,腎結石,前立腺結石,甲状腺機能低下など
  • 治療:対症療法/欧州では進行を遅らせるニチシノン(高チロシン血症治療薬)(日本は未承認)



松下記念病院 川崎達也)

2023-02-02

ミノサイクリンによる色素沈着

👤 Minocycline-induced hyperpigmentation
  • 頻度:有病率は2.4〜41%で,治療期間や累積投与量と相関(顔面を除く)
  • 病理:基底ケラチノサイトでのメラニンの増加および真皮メラノファージ
  • 鑑別:アジソン病,甲状腺機能亢進,ヘモクロマトーシス,悪性腫瘍など
  • 治療:ミノサイクリン中止,日光への露出回避,色素特異的レーザーなど


繰り返す創部感染症でミノサイクリン200 mg/日を6年服用していた症例

👹 追加情報
  •  薬剤性色素沈着にはミノサイクリン以外にも,アミオダロンやブレオマイシン,プロスタグランジン,経口避妊薬,フェノチアジン,抗マラリア薬などが知られています.
  • 特にアミオダロンによる色素沈着は”Blue man”として知られています(下図).ちなみに”Red man”といえばバンコマイシンによる過敏反応のレッドマン症候群です.


松下記念病院 川崎達也)

2020-07-06

🔨 水槌脈 Water-hammer pulse

心雑音で来院した症例の肘部



🔎 解説

😗 独り言
  • 画像診断が発達した現代では弁膜症の診断は比較的容易です.しかし身体所見による診断は医学(特に循環器学)の醍醐味です.特に視診で診断できた時の喜びはなんとも言えません.患者さんに触れずに診断できる病態は意外に多いと思います ➜ 自験例1自験例2自験例3自験例4

🉐 関連投稿(大動脈逆流の身体所見)
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)