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2022-07-21

前屈は意外に高負荷?

労作時の息切れを訴える症例

🐦 解説
  • 座位の安静時に右鎖骨上に頸静脈の拍動を視認しない(座位陰性)
  • 吸気負荷を追加後も頸静脈拍動の出現なし(クスマウル徴候陰性)
  • しかし少し前かがみになると内頸静脈の拍動が出現(前屈負荷陽性)
  • 拍動は陽性波(ランチージ徴候陽性)かつ不規則(心房細動を示唆)
  • 最終的に本例は,持続性心房細動を伴った慢性左心不全と診断した

🐤 臨床現場
  • 安静端座位で頸静脈拍動がないため著明な中心静脈圧の上昇(目安は15cm水柱)はないと判断.吸気負荷(クスマウル徴候)も陰性であるため「中等度の上昇もなさそうだな〜」と思っていました.
  • しかし症状が心不全のまさしく”short of breath”であったため,前かがみ(頭部前方位姿勢)になってもらったら陽性波が出現してびっくり 😮 前屈による胸腔内圧上昇は(僕が)思っているより高負荷?
  • 蹲踞は前負荷増大+後負荷増大でかなりの負荷量です.蹲踞+前屈負荷は旧最強負荷でいわゆるトリプル負荷.蹲踞+前屈負荷+吸気負荷が新最強負荷でいわゆる負荷の四重奏.すべて勝手に命名ですが...😅

松下記念病院 川崎達也)

2024-02-26

前屈 😳 スゲー

大腸疾患の術前採血でBNP高値(800台)を指摘された症例

💙 解説
  • 端座位で頸静脈拍動は視認しない
  • 前屈負荷後に頸静脈拍動が出現!
  • 拍動は陥凹でなく隆起と思われた
  • よくみると自然吸気時に隆起明瞭
  • S3はないがS2の肺動脈成分は亢進
  • 胸部X線で肺うっ血や胸水はなし
  • 心エコーでEF 20%+肺高血圧あり
  • 最終的に非代償性左心不全と診断

💚 前屈負荷はユニーク
  • 安静時に頸静脈拍動を認めなくても,各種負荷で拍動が出現することがあります.吸気負荷が最も簡便ですが,左上肢挙上負荷も役にたちます.通常は「拍動なし→陥凹出現」です.安静時に陥凹があれば,負荷後に隆起になる場合もあります(陥凹の消失は原則ない).
  • しかし前屈負荷では本例のように「拍動なし→隆起出現」の変化を経験することがあります(他の自験例).このようなユニークな変化の機序としては,前屈に伴う胸腔内圧の上昇に加えて,息止めの効果や心臓との垂直距離の短縮なども考えられるでしょうか?
  • 本症例は当初「胸部症状はない」と言われました.しかし頸静脈所見を確認後に再度問うと,「数年前から労作時に息切れがするようになったため日常生活を抑えている」と述べられました.自覚症状の有無に加えて,年齢相応の活動的な生活か否かの確認も大切です.

松下記念病院 川崎達也)

2023-10-16

「ちょっと前かがみになってもらえませんか」

肥大型心筋症による慢性心不全例(座位)

😎 解説
  • 安静座位で鎖骨上に内頸静脈の陥凹あり(矢印)
  • クスマウル徴候陽性:吸気で陥凹 ➜ 隆起(矢印)
  • 前かがみで内頸静脈の陽性拍動が明瞭化(矢頭)

👟 Bendopnea(前屈時呼吸困難症)
  • 前かがみになると通常,頸静脈拍動がより明瞭になります.その機序は,前屈による胸腔内圧の上昇に伴い左室拡張末期圧や肺動脈楔入圧,右房圧などがさらに高くなるためと考えられてれます(JACC Heart Fail 2014;2:24-31).
  • 上記の心内圧の増加に加えて,体位変換による物理的な距離の変化もその一因かもしれません.本例の動画からも分かるように,前屈時には心臓と内頸静脈の垂直距離が短縮します(いわば首から上だけの[逆]半座位のような感じ?)
  • いずれにせよ吸気や左上肢挙上と同様に簡便な負荷に違いありません.患者さんに「ちょっと前かがみになってもらえませんか」と言うだけです.そして「普段の生活でこういう体勢はしんどくありませんか?」と続けてみてください.

👀 前屈に関する過去の投稿 ➜ コチラ

松下記念病院 川崎達也)

2023-10-30

視診だけでは難しいが...

労作時の動悸感を訴える症例(端座位)

😀 解説
  • 安静時や吸気時に鎖骨上にわずかに拍動あり??
  • 前屈で周期的拍動(隆起)が明瞭になった(矢印)
  • 隆起を触ってみると明らかに動脈性拍動であった
  • 本例は最終的に心不全の状態ではないと判断した

 😎 追加コメント
  • 前屈で頸静脈所見が悪化する症例は少なくありません.陥凹から隆起になることが多いと思いますが(自験例),吸気陰性なのに前かがみでいきなり陽性波を示す症例もあります(自験例).前屈は吸気負荷よりも心臓への負担が大きいと思います
  • 本例も一見,中心静脈圧の上昇が疑われましたが,最終的には体位変換に伴って顕性化した動脈拍動でした.大脈を示す病態(大動脈弁逆流や甲状腺機能亢進,発熱,貧血など)はないため,加齢に伴う動脈蛇行(=偽コリガン脈)と診断しました.
  • 鑑別すべき病態に肥大型心筋症のa波の顕性化があります(自験例).触診で静脈を確認したら次は脈や心音を併用した時相確認が必要です.隆起のタイミングが前収縮期なら硬くなった心室(HCMなど)や不整脈(キャノンa波)などを考えます.

松下記念病院 川崎達也)

2023-07-13

診察室での簡便な負荷

慢性心不全でフォロー中の症例(数日前に息切れを自覚/現在は改善)

😽 解説
  • 端座位で内頸静脈の拍動なし ➜ 中心静脈圧の高度上昇なし
  • 吸気負荷で拍動は出現せず ➜ 中心静脈圧の中等度上昇なし
  • 吸気を保持したまた左上肢挙上で拍動なし ➜ ちょっと安心
  • さらに前屈位負荷を追加しても拍動は見えず ➜ かなり安心
  • 心不全は十分に代償されていると判断して内服薬は変更せず

😺 独り言
  • 本例で行なった負荷の組み合わせはとても簡便なので,時々診察室で行なっています.ただし吸気負荷による前負荷の増大や前屈位による胸腔内圧の上昇と比較して,上肢挙上に伴う心負荷のメカニズムは意外に複雑の様です(過去の投稿).
  • 蹲踞姿勢は前負荷増大+後負荷増大+胸腔内圧上昇で強い負荷です(トリプル負荷).吸気負荷+蹲踞姿勢は外来診察室で行える最強の心負荷(負荷の四重奏)でしょうか.もっとも蹲踞は膝痛などで実施できないことが少なくありません.

松下記念病院 川崎達也)

2022-12-29

BOSI: bending oxygen saturation index

💟 前向き臨床研究Eur J Heart Fail 2022;24:2108-17
  • Bendopnea=前屈時呼吸困難(例:前かがみで靴をはく)で心不全を示唆
  • BOSI=端座位の状態から前かがみになった時に低下する酸素飽和度の程度
  • 安定した外来心不全症例でBOSI3%以上の低下は独立した予後予測因子
  • しかし前かがみ時の息切れ症状は心事故とは関連せず (95% CI 0.83–1.31)

👤 独り言
  • 前屈時の呼吸困難の出現が予後と関連しなかったことは意外でした.しかしなんとなく分かる気がします.実はつい先ほど,ビールを飲みながら椅子に座ってこのコンテンツを作成中,下に落ちたペンを拾おうとしたら胸が圧迫され息苦しさを感じたからです(僕は心不全に罹患していないはず 😅).自覚症状ってあまりあてにならないことがあります.

🉐 心不全に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可))

松下記念病院 川崎達也)

2024-10-31

ベンドニア Bendopnea 

前かがみが苦しいと訴える緻密化障害例

🐤 前屈時呼吸困難症
  • 安静座位で鎖骨上に頸静脈の拍動なし
  • 吸気負荷を追加したが拍動は出現せず
  • 前屈位で頚静脈の拍動が出現(矢印)
  • それと同時に主訴の苦しさが出現した
🐥 系統的レビュー(6研究/891名)
  • ベンドプネアは呼吸困難 [オッズ比(OR)69.70(17.35-280.07); p <0.001],起座呼吸 [OR 3.02(2.02-4.52); p <0.001],発作性夜間呼吸困難 [OR 2.76(1.76-4.32); p <0.001],腹部膨満感 [OR 7.50(4.15-13.58); p <0.001] と関連
  • ニューヨーク心臓協会(NYHA)機能クラスIVは.ベンドプネア患者でより多く [OR 7.58(4.35-13.22); p <0.001],下図の様に死亡率の上昇とも関連 [OR 2.21(1.34-3.66); p <0.002].2つの研究では頸静脈圧の上昇とも関連あり.


松下記念病院 川崎達也)

2021-03-22

🏭 トリプル負荷

右室肥大が疑われる症例

😊 解説
  • 立位(ビデオ開始時)では頸静脈を視認しない(カルテには立位陰性とシンプルに記載)
  • しかしスクワッティング後(ビデオ後半)では頸静脈の拍動が出現(カルテ記載は蹲踞陽性)
  • よく見ると頸静脈拍動は陽性波 ➜ a波(前収縮期/Ⅰ音直前)あるいは巨大v波(収縮期)
  • 両者の鑑別には触診(=動脈触知)または聴診が有用 ➜ 本例の陽性波はa波と判断した
  • 心エコー図で右室肥大+どこでもⅣ音 ➜ 右室肥大型心筋症の疑いで現在フォロー中

😶 独り言
  • 蹲踞負荷は膝痛などで施行できないことも少なくないが,前負荷増大(静脈還流の増加)かつ後負荷増大(下肢血管抵抗の上昇)のため心負荷は大きい.
  • さらに本例のビデオでも分かるように,多くの人は蹲踞時にバランスを取るため前かがみになる.これは胸腔内圧の上昇からbendopnea(前屈時呼吸困難症)の誘発にも繋がる(実例).
  • つまり蹲踞は前負荷増大後負荷増大胸腔内圧上昇トリプル負荷とも言える.個人的にはベットサイドで行える最強の負荷と思う(まるでトリプル・ドム 😉).

フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2021-08-16

疾患-心音 🐯 虎の巻

👂 再確認にご利用ください(無料アプリ『ポケット心音』にも入っています)

  • 大動脈弁狭窄 ➜ 収縮期の駆出性雑音,重症例ではⅡ音が減弱


  • 大動脈弁逆流 ➜ 拡張期の灌水様雑音(前屈姿勢で聴取しやすい),重症では直ちに漸減


  • 僧帽弁狭窄 ➜ 僧帽弁開放音,Ⅰ音の亢進,拡張期ランブル


  • 僧帽弁逆流 ➜ 収縮期の逆流性雑音,Ⅰ音の減弱,重症例ではⅢ音やランブル


  • 僧帽弁逸脱 ➜ 収縮中期のクリック音(聞き逃すことが意外に多い)


  • 僧帽弁逸脱+逆流 ➜ 漸増する収縮後期の逆流性雑音,クリック音(不明瞭なことも多い)


  • 心不全 ➜ 心尖部でⅢ音や奔馬調律(別名ギャロップ,馬の駆けるような音)


  • 拡張型心筋症 ➜ Ⅱ音の後にⅢ音を聴取(Ⅰ音減弱やⅣ音聴取も少なくないが・・・)


  • 肥大型心筋症 ➜ Ⅰ音の前に明瞭なⅣ音が出現


  • 閉塞性肥大型心筋症 ➜ 収縮期駆出性雑音があり期外収縮後に増強


  • 心室中隔欠損 ➜ 汎(全)収縮期雑音(Ⅰ音とⅡ音の聴取は難しい)


  • 収縮性心膜炎 ➜ 広い範囲で心膜ノック(叩打)音


  • 急性心膜炎 ➜ 心膜摩擦音(例:シュポシュポ,カリカリ)




※ 以前に松下ERランチカンファレンスに投稿した内容の更新版です 🎶

松下記念病院 川崎達也)

2020-02-06

頸静脈:座位-前かがみ-蹲踞

  • 肥大型心筋症例の頸静脈(安静座位 ➜ 前かがみ ➜ 蹲踞)

😃 解説
  • 安静時には頸静脈の拍動は僅かにしか確認できない(おそらく呼気時に出現と予測)
  • 前かがみ(頭部前方位姿勢)では頸静脈拍動が少し明瞭に(ただ呼吸の影響はあり)
  • 蹲踞では頸静脈拍動がより明瞭になり(呼吸性変動なし)心音からa波と確認できた

🙇 おまけ
  • 前かがみになると頸静脈拍動が見やすくなることはこの患者さんから教えてもらいました.体調管理として自己検脈に加えて頸静脈拍動の自己確認を指導していた賜物でしょうか?正確な機序は不明ですが,胸腔内圧の上昇(まさしくbendopnea=前屈時呼吸困難症)+頭部の前方移動に伴い内頸静脈がより表在に近づくためと予想しています.
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2021-08-09

Bendopnea 前屈時呼吸困難症

👻 2年以上前に松下ERランチ・カンファレンスにアップした投稿(ココ)ですが,この身体所見は心臓フィジカル広場にもしばしば登場(自験例1自験例2自験例3)しているので更新版を転記しておきます.発音は“bend-op-nee-ah”ですが,pの音は聞こえないことが多いようです(音声).

  • 前かがみになった時(例えば靴をはく 👞)に息切れが生じる状態(心不全の症状)
  • 米国の循環器内科医Thibodeauらによる造語(J Am Coll Cardiol HF 2014;2:24–31
  • 右房圧や肺動脈楔入圧の上昇時に前かがみでさらに圧上昇(特に心拍出量低下時)


図の解説 ➜ bendopneaがある心不全例ではNohria-Stevenson 分類で予後不良の指標であるProfile C(うっ血所見あり+低灌流所見あり/wet-cold)が多い 💀


松下記念病院 川崎達也)

2021-07-05

”最強”負荷法

息切れで来院した症例

👻 解説
  • 立位では頸静脈の拍動は目立たないが,しゃがみこみ(蹲踞姿勢)で内頸静脈の陽性拍動が出現(矢頭)
  • その後に追加した深吸気で,内頸静脈の陽性拍動は顎下まで上昇した(矢印)➜ 広義のクスマウル徴候陽性
  • 耳垂にある45度の皺にも注目 ➜ フランク徴候またはearlobe creaseと呼ばれ虚血性心疾患を示唆する
  • 本例は冠動脈バイパス術の既往があり慢性左心不全の増悪と診断 ➜ 利尿薬の追加と減塩指導を行い2週間後に再診

👾 独り言
  • 蹲踞負荷は前負荷(静脈還流)と後負荷(下肢血管抵抗)がいずれも上昇します.さらに蹲踞時にはバランスをとろうと前かがみ(前屈負荷)になる多いことが多いため,個人的にはトリプル負荷と呼んでいます(旧"最強"負荷法).
  • 今回はさらに吸気負荷を加えているため,これが外来診察室で行える"最強"の心負荷かもしれません(命名:負荷の四重奏).もちろん蹲踞負荷は膝痛などで施行できないことが少なくないので,応用範囲は限られますが…

松下記念病院 川崎達也)

2023-11-13

症状があてにならない時

息切れがあるのかないのかはっきりしない症例

😶 臨床現場
  • 座位では僅かに拍動あり? ➜ 心不全ありとは言えず
  • 吸気負荷で内頸静脈の隆起?(拍動なし)➜ 心不全?
  • 左上肢挙上で周期的な陥凹出現 ➜ 心不全ありと判断
  • 最終診断は慢性左心不全(HEpEF)➜ SGLT2i を投与

🔗 復習
  • 高齢者の心不全例では自覚症状が曖昧なことがあります.加齢に伴う身体活動の低下や各種知覚センサーの鈍化が原因と推測されます.また認知機能障害の合併も念頭に置く必要があります(自験例:ニコニコしている症例).システマティックレビュー(J Card Fail 2017;23:464-75)では,心不全患者で認知症の頻度が43%に達していました(95%信頼区間30~55).怪しければ吸気負荷に加えて左上肢挙上負荷前屈負荷の追加が役立ちます.

松下記念病院 川崎達也)

2021-08-12

オスラー名言の視覚版

心不全で入院中の症例:端座位 ➜ 前かがみ

🐷 解説
  • 端座位で右鎖骨上に内頸静脈の拍動をわずかに視認可(座位陽性)
  • 内頸静脈拍動は不規則(不整脈や呼吸性:本例では心室期外収縮)
  • 前かがみになると内頸静脈の拍動が増強(陽性波=ランチシ徴候
  • ビデオ後半で拍動視認の頻度が多い ➜ 心室期外収縮の増加を示唆

👂 臨床現場
  • 回診時に患者さんが「入院ベットに座って横にある台から物を取ろうとするとしんどくなる」と教えてくれました.実際にやってもらったのがこの動画です.まさしく前屈時呼吸困難症(bendopnea)です.
  • 患者さんから身体所見を教えてもらうことが少なくありません(自験例1自験例2自験例3自験例4).オスラーの名言 "Listen to your patient, he is telling you the diagnosis." のまさに視覚版です.

松下記念病院 川崎達也)

2023-09-28

ホーマンズ徴候 Homans's sign


  • 深部静脈の血栓(性静脈炎)の有無を判定するのに有用な身体所見のひとつ
  • 足首の強制背屈時に膝の屈曲あるいは下腿の疼痛が出現すれば陽性と考える
  • 米の外科医 John Homans (1877–1954) に由来(N Engl J Med 1944;231:51-60
  • 診断能は必ずしも高くないため,Dダイマーや静脈エコーと組み合わせて使用
  • 感度10-54%,特異度39-89%(McGee. Evidence-Based Physical Diagnosis 2012)


Homan's Sign by siom916 より)

😶 おまけ+独り言
  • ガイドラインには「末梢型DVTには画一的に抗凝固療法を施行しない」(推奨クラス I  エビデンスレベル B)と記載されています(表33).(追記:中枢型=腸骨・大腿・膝窩静脈の血栓).本文中にも「末梢型は,中枢型にくらべてPTEのリスクは約半分と低く,2週間以内に血栓の中枢伸展がなければその後の伸展はない.超音波検査で1週ごとに中枢伸展の有無を経過観察するのがよい.中枢伸展があり,症候性で出血リスクが低い場合には,中枢型に準じた抗凝固療法を行う.」とも書かれています.つまり無症候性の遠位部血栓はエコーによるフォローで良さそうです.
  • ガイドラインには「Homans徴候は足関節を強く背屈させると腓腹部に強い疼痛が生じる所見で,Lowenberg徴候は腓腹部に血圧計のカフを装着し,60~150 mmHgに加圧すると疼痛を生じる所見であるが,特異性がなく,あまり使用されなくなっている524)」とも記載されています.しかしここでの引用524)は半世紀以上前の論文です(Br J Surg 1968;55:822-4).Homans徴候とLowenberg徴候の説明のための引用かもしれませんが,それならば 524) の記載位置が少しずれていると思います.いずれにせよ個人的には今でもHomans徴候を活用しています 😁

松下記念病院 川崎達也)