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2026-02-12

眼 👀 vs 心不全

息切れで来院(血液疾患で化学療法中)

😐 解説
  • 眼周囲の明瞭な浮腫(puffy eyes)
  • 浮腫は下眼瞼より上眼瞼で目立つ
  • 浮腫の部分は心持ち蒼白?(pale)
  • 座位で右側内頚静脈の拍動は陽性
  • 心音はギャロップ+全収縮期雑音
  • 最終診断は薬剤性心筋症(HFrEF)

👽 心不全 vs 眼
  • 眼瞼浮腫は必ずしも病的とは言えません(寝不足や号泣後).しかし本例のように上眼瞼が主体の浮腫なら心不全を想起させます(ただしエビデンスは見つからず)
  • 眼瞼浮腫で発赤がないことは炎症やアレルギーに伴う変化の除外に有用と思われます.(本例は血液疾患による貧血に加えて,心不全による血液の希釈も影響?)
  • 心不全の浮腫と言えば下腿浮腫ですが,眼瞼や陰嚢などにも出現することがあります.心不全での眼瞼浮腫の頻度を調べましたが見つけることができませんでした.
  • 心不全ガイドラインは「下腿(末梢あるいは四肢)の浮腫とそれ以外の浮腫」という分類がされています.「眼」という漢字は一つも記載されていませんでした.

松下記念病院 川崎達也)

2026-02-09

フィジカルクイズ(No. 39 & 40)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週金に循環器に関するフィジカルクイズをX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらのページには2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2026-02-05

心エコー図の前に診断

発熱と嘔吐を訴える高齢者(大動脈弁位生体弁)


(投稿者 川崎)

2026-02-02

📢 心音クイズ1

  • 他のコンテンツで心音クイズを作成しました.本ページにもアップしておきます(内容は少し変更しています)


健常者の心音である.記録部位はどこか.







判定


😐 正解 A
  • 健常者ではⅠ音(S1)は低調で長く心尖部優位で,Ⅱ音(S2)は高調で短く心基部優位です.
  • このパターンを耳にしっかり刷り込んでおけば,S1の減弱やS2の亢進に気づき易くなります.


松下記念病院 川崎達也)

2026-01-29

今週の一枚 🎯

- 両側の趾痛を訴える高齢者 -

松下記念病院 川崎)

2026-01-26

フィジカルクイズ(No. 37 & 38)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週末に循環器に関するフィジカルクイズをX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらのページには2週分ずつまとめてアップします.



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松下記念病院 川崎達也)

2026-01-22

心拍出量のFick法



問題:心拍出量を測定する際,熱希釈法よりFick法が望ましい病態はどれか. 2つ選べ







判定


😐 解説:正解 d, e
  • 心拍出量の測定に関する問題である.心拍出量は酸素消費量を動脈血と混合静脈血の酸素含量差で除して求めるFick法と指示薬希釈法があり,後者ではSwan-Ganzカテーテルが開発されてからは冷水を指示薬とする熱希釈法が一般的に用いられている.
  • Fick法の原理は,肺での血液の酸素摂取速度と肺静脈と肺動脈の酸素含量差から肺血流量は決定され,定常状態では血液の酸素摂取速度と肺による室内空気からの酸素取り込み速度は等しくなることから,肺血流量=酸素消費量÷肺静脈と肺動脈の酸素含量差で求められる.心臓内短絡(シャント)がなければ肺血流量は体血流量に等しくなることから心拍出量も測定することになる.通常は混合静脈血として肺動脈血を用いるが,肺静脈血のサンプリングは困難なため左室あるいは動脈血で代用している.心臓内シャントがあった場合には混合静脈血として肺動脈血の代わりにシャント直前の心腔内でサンプリング行う必 要がある.
  • 熱希釈法は肺動脈内に先端を留置したカテーテル近位部(右房)のポートから冷たい生理食塩水を注入し,血液の温度変化をカテーテル先端のサーミスターで測定し,経時的な温度変化から肺血流量が計算される.Fick法と同様に心臓内シャントがなければ心拍出量を表すが,Fick法と比べて動脈穿刺を行っての血液サンプル採取が不要なことや速やかに結果がわかる利点がある.しかしながら,三尖弁逆流が存在すると注入した冷水がカテーテル先端のサーミスターに到達しにくくなるため温度が低下せずに心拍出量を過大評価することや,心臓内シャントが存在すると肺血流量と心拍出量が一致しなくなる.
  • よって,熱希釈法よりFick法での心拍出量測定が望ましいのは d.心房中隔欠損症と e.重症三尖弁閉鎖不全症の患者である.
  • a, c.心房細動や僧帽弁狭窄症があっても熱希釈法で心拍出量は測定可能である.
  • b. 肺動静脈瘻は心臓外短絡であり,奇異性塞栓症や脳膿瘍の原因にはなるが,熱希釈法による心拍出量の測定に支障はない.


松下記念病院 川崎)

2026-01-19

ChatGPT(GPT-5.2)の返答

  • AIを仕事で利用する頻度がとても増えました.とんでもない嘘を自信満々で答えるときがあるため,返答を鵜吞みにすることはできません.しかし大いに参考になります(特に基本的な知識がある領域)
  • AIは進化がとても早い領域です.その変化を知るため現時点のレベルをまとめておきます.各設問に対するAIの答えをそのまま記載します.忘れなかったら😅1年後に同じことを最新AIに問うてみます

 
Q1 心尖拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 心尖拍動は左心室収縮により生じる胸壁の拍動で、心機能評価に重要な身体所見である。正常では左第5肋間・鎖骨中線上に触知され、範囲は限局する。外側・下方への偏位は心拡大を示唆し、びまん性で強い拍動は左心室肥大や容量負荷を考える。触知困難な場合は肺気腫や肥満が原因となることがある。このように心尖拍動は心疾患の存在や重症度推定に有用である。

Q2 心音の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 心音は心臓の弁運動や血流変化により生じ、心機能や弁膜症評価に重要な身体所見である。第Ⅰ音は房室弁閉鎖を反映し、増強は頻脈や僧帽弁狭窄、減弱は心筋障害を示唆する。第Ⅱ音は半月弁閉鎖音で、分裂の変化は肺高血圧や右脚ブロックなどの診断に有用である。第Ⅲ音は容量負荷や心不全、第Ⅳ音は心室拡張障害を示すことが多い。さらに心雑音の有無や性状から弁膜症や先天性心疾患の推定が可能であり、心音聴診は非侵襲的に循環器疾患を評価できる基本かつ重要な診察手技である。

Q3 頚静脈拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 頚静脈拍動は右心系の圧・容量状態を反映する重要な身体所見である。内頚静脈の拍動を観察することで中心静脈圧を推定でき、右心不全、容量負荷、脱水の評価に有用である。正常では半坐位で鎖骨上に軽度の拍動を認める程度であり、明らかな怒張は右心不全、三尖弁閉鎖不全、心タンポナーデ、収縮性心膜炎などを示唆する。波形の観察も重要で、a波増高は右房圧上昇、v波増高は三尖弁閉鎖不全を考える。Kussmaul徴候(吸気時の頚静脈怒張増強)は収縮性心膜炎や右室梗塞に特徴的である。頚静脈拍動は非侵襲的かつ迅速に右心機能を評価でき、循環動態把握に欠かせない所見である。

Q4 頚動脈拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 頚動脈拍動は左心室からの駆出血流を直接反映する重要な身体所見であり、心拍出量や大動脈弁疾患の評価に有用である。正常では立ち上がりが速く、なだらかに下降する拍動を触知する。拍動の減弱や遅延(parvus et tardus)は大動脈弁狭窄を示唆し、逆に強く跳ねるような拍動(bounding pulse)は大動脈弁閉鎖不全や高拍出状態で認められる。二峰性拍動は肥大型心筋症を、拍動の左右差は頚動脈狭窄や大動脈解離を疑う所見となる。また、頚動脈雑音の聴取は動脈硬化性病変のスクリーニングとして重要である。頚動脈拍動の触診・聴診は簡便かつ非侵襲的に全身循環や弁膜症の手がかりを得られるため、循環器診察における基本かつ不可欠な所見である。

Q5 傍胸骨拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 傍胸骨拍動は胸骨左縁で触知される心拍動で、主に右心系や心室負荷の状態を反映する重要な身体所見である。正常では明瞭に触知されないが、持続的で強い傍胸骨拍動は右心室肥大や右心系圧負荷を示唆する。肺高血圧、肺動脈弁狭窄、慢性肺疾患に伴う肺性心などで認められることが多い。また、胸骨左縁下部での拡張期に強い拍動は右心室容量負荷や三尖弁閉鎖不全を考える手がかりとなる。心室中隔欠損などでは拍動が増強する場合もある。傍胸骨拍動は視診・触診のみで評価可能であり、右心機能や肺循環異常を推定するうえで有用な、基本的かつ重要な循環器身体所見である。


松下記念病院 川崎達也)

2026-01-15

成功体験

- 息切れで来院した症例 -

👀 解説
  • 通常時には爪床に特記すべき異常所見なし
  • 爪床の圧迫時に色調変化(クインケ徴候)
  • おまけ:検者の爪床にはクインケ徴候なし

😊 独り言
  • 本例は心音で明瞭な拡張期雑音を聴取しました.そこで循環器外来を見学していた初期研修医1年目の先生に爪床を圧迫してもらいました.
  • すると明瞭な拍動が出現したため,大動脈弁逆流と診断してくれました.その後に行った心エコー図でも高度の大動脈弁逆流を認めました.
  • その先生はとても感動していました.このような成功体験を積むことが身体所見を学ぶ近道です.ただし志望は循環器以外のようですが...

松下記念病院 川崎達也)

2026-01-12

フィジカルクイズ(No. 35 & 36)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週末に循環器に関するフィジカルクイズをX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらのページには2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2026-01-05

肝頚静脈逆流 Hepatojugular reflux: HJR (or Abdominojugular test)

  • 肝頚静脈逆流のメタアナリシス(J Gen Fam Med 2022;23:393-400)を眼にしたのでPICO(ピコ)形式で共有します

    1. P – 7件の研究とその5195人
    2. I – 二変量ランダム効果解析
    3. C – 心不全に対する診断能
    4. O – 感度0.12,特異度0.96

😑 「う~
  • 先日,卒後15年目くらいの臨床バリバリ循環器専門医から「hepatojugular refluxって何ですか?」と聞かれました.個人的にも実臨床で行うことはまずありません.心不全の感度12%では致し方ないでしょうか...
  • ただし2025年改訂版 心不全診療ガイドラインには(まだ)記載されています「この(←頚静脈のこと)拍動が吸気や腹部圧迫によって明瞭化する所見(Kussmaul徴候,肝頸静脈逆流)も 体うっ血を示唆する」(P32)
  • 肝頚静脈逆流(HJR)の陽性基準は,自発呼吸下で右上腹部を10秒以上圧迫したとき頚静脈圧3cm以上かつ15秒以上続く場合が多いと思います(過去の投稿)…いやはやシンプル頚静脈の方がはるかに簡単で感度も高そう

松下記念病院 川崎達也)

2026-01-01

三徴候の共存 🎍 元旦

労作時の息切れで来院例(座位)

😐 解説
  • 頚部の上1/3(顎下)に陥凹(右向き矢印)
  • 吸気負荷で別の部位に隆起(左向き矢印)
  • 拍動はいずれも不規則 ➜ 心房細動の疑い
  • 外頚静脈の怒張 ➜ クスマウル徴候(矢頭)
  • 内頚静脈の陥凹+外頚静脈怒張 ➜ 心不全
  • 頚動脈隆起(コリガン脈)➜ 大動脈弁逆流
  • 心エコー図では中等度の大動脈弁逆流あり
  • 最終的にARとAFを伴った心不全と診断した

💟 現場実況
  • 本例で初診時に身体所見を確認したときには,安静時の内頚静脈の陥凹が吸気後には隆起(ランチシ徴候)へ変化しました.もちろんこれで,中心静脈圧が高度に上昇した非代償性心不全と診断できました.
  • その後,看護師さんと車いすで検査に回ってもらいました(心電図や胸部X線,採血).その後の結果説明時(←この時に上記動画を記録)には,ランチシ徴候はなく代わりにクスマウル徴候を認めました.
  • 本例は吸気後に頚動脈拍動(コリガン脈)を認めます.よく見ると安静時にもすでにありそうです.通常,吸気で頚動脈所見は変化しません.本例は筋緊張などが加わり拍動が顕性化したと考えられました.

松下記念病院 川崎達也)