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2020-08-10

高血圧性心疾患 HHD: hypertensive heart disease

難治性高血圧を有する症例(呼吸調整なし)


🔎 解説
  • 仰臥位では心尖拍動はほぼ確認できない ➜ 心拡大の有無は判定できない
  • 左半側臥位では乳輪の外側下方に抬起性の心尖拍動あり ➜ 心肥大の疑い
  • 心尖付近の紙付箋の拍動はよく見ると二段の動き ➜ 二峰性心尖拍動の疑い
  • 心エコー図で遠心性左室肥大を確認 ➜ 最終的に高血圧性心疾患と診断した

😗 独り言
  • 二峰性心尖拍動と言えば肥大型心筋症が有名である.しかし肥大を呈する他の疾患(高血圧性心疾患や大動脈弁狭窄症など)でも出現することがある.本例は「ベットで左を下にして寝るとマットのスプリングがいつもギュギュと軋み始める」ことを教えてくれた.「お風呂で胸まで浸かると湯面に輪っかが広がる」と教えてくれた患者さんも経験済み(コチラ).視診では少し分かりにくいが,触診ではその力強さにいつも驚かされる.侮るなかれ二峰性心尖拍動.

🉐 関連投稿(二峰性心尖拍動編)
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2019-09-12

肥大型心筋症の二峰性心尖拍動

  • 心室中部閉塞性肥大型心筋症の心尖拍動(左半側臥位)

🔎 解説
  • 心尖拍動は小さな振れ(atrial kick=A波=心房収縮波)の後に大きな振れ(抬起性)が続く二峰性のダブルインパルス(舌圧子は収縮期に画面右方に移動)
  • 左半側臥位での心尖拍動が左乳房下あたりなので心拡大はなさそう(心尖拍動は左半側臥位では仰臥位よりも左外側に1-2横指以上移動するため注意を要する)

  • ダブルインパルスの分かりやすさ ➜ 触診>舌圧子>視診(👴 個人的意見です)
  • 肥大型心筋症の抬起性および二峰性心尖拍動の頻度は以下(当院自験例より)
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2026-01-19

ChatGPT(GPT-5.2)の返答

  • AIを仕事で利用する頻度がとても増えました.とんでもない嘘を自信満々で答えるときがあるため,返答を鵜吞みにすることはできません.しかし大いに参考になります(特に基本的な知識がある領域)
  • AIは進化がとても早い領域です.その変化を知るため現時点のレベルをまとめておきます.各設問に対するAIの答えをそのまま記載します.忘れなかったら😅1年後に同じことを最新AIに問うてみます

 
Q1 心尖拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 心尖拍動は左心室収縮により生じる胸壁の拍動で、心機能評価に重要な身体所見である。正常では左第5肋間・鎖骨中線上に触知され、範囲は限局する。外側・下方への偏位は心拡大を示唆し、びまん性で強い拍動は左心室肥大や容量負荷を考える。触知困難な場合は肺気腫や肥満が原因となることがある。このように心尖拍動は心疾患の存在や重症度推定に有用である。

Q2 心音の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 心音は心臓の弁運動や血流変化により生じ、心機能や弁膜症評価に重要な身体所見である。第Ⅰ音は房室弁閉鎖を反映し、増強は頻脈や僧帽弁狭窄、減弱は心筋障害を示唆する。第Ⅱ音は半月弁閉鎖音で、分裂の変化は肺高血圧や右脚ブロックなどの診断に有用である。第Ⅲ音は容量負荷や心不全、第Ⅳ音は心室拡張障害を示すことが多い。さらに心雑音の有無や性状から弁膜症や先天性心疾患の推定が可能であり、心音聴診は非侵襲的に循環器疾患を評価できる基本かつ重要な診察手技である。

Q3 頚静脈拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 頚静脈拍動は右心系の圧・容量状態を反映する重要な身体所見である。内頚静脈の拍動を観察することで中心静脈圧を推定でき、右心不全、容量負荷、脱水の評価に有用である。正常では半坐位で鎖骨上に軽度の拍動を認める程度であり、明らかな怒張は右心不全、三尖弁閉鎖不全、心タンポナーデ、収縮性心膜炎などを示唆する。波形の観察も重要で、a波増高は右房圧上昇、v波増高は三尖弁閉鎖不全を考える。Kussmaul徴候(吸気時の頚静脈怒張増強)は収縮性心膜炎や右室梗塞に特徴的である。頚静脈拍動は非侵襲的かつ迅速に右心機能を評価でき、循環動態把握に欠かせない所見である。

Q4 頚動脈拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 頚動脈拍動は左心室からの駆出血流を直接反映する重要な身体所見であり、心拍出量や大動脈弁疾患の評価に有用である。正常では立ち上がりが速く、なだらかに下降する拍動を触知する。拍動の減弱や遅延(parvus et tardus)は大動脈弁狭窄を示唆し、逆に強く跳ねるような拍動(bounding pulse)は大動脈弁閉鎖不全や高拍出状態で認められる。二峰性拍動は肥大型心筋症を、拍動の左右差は頚動脈狭窄や大動脈解離を疑う所見となる。また、頚動脈雑音の聴取は動脈硬化性病変のスクリーニングとして重要である。頚動脈拍動の触診・聴診は簡便かつ非侵襲的に全身循環や弁膜症の手がかりを得られるため、循環器診察における基本かつ不可欠な所見である。

Q5 傍胸骨拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 傍胸骨拍動は胸骨左縁で触知される心拍動で、主に右心系や心室負荷の状態を反映する重要な身体所見である。正常では明瞭に触知されないが、持続的で強い傍胸骨拍動は右心室肥大や右心系圧負荷を示唆する。肺高血圧、肺動脈弁狭窄、慢性肺疾患に伴う肺性心などで認められることが多い。また、胸骨左縁下部での拡張期に強い拍動は右心室容量負荷や三尖弁閉鎖不全を考える手がかりとなる。心室中隔欠損などでは拍動が増強する場合もある。傍胸骨拍動は視診・触診のみで評価可能であり、右心機能や肺循環異常を推定するうえで有用な、基本的かつ重要な循環器身体所見である。


松下記念病院 川崎達也)

2023-06-22

プルプル心尖部

端座位の肥大型心筋症例

👀 解説
  • 心尖拍動を視認 ➜ 左乳輪内側で心拡大はなさそう
  • 心尖拍動はとても明瞭 ➜ 抬起性(心肥大)の疑い
  • よくみるとプルプルっとなっていて単峰性ではない
  • 触診でダブルインパルスがあり聴診では巨大Ⅳ音
  • 本例では剣状突起が目立っている(病的意義なし)

👶 独り言
  1. 通常の心尖拍動の他に拍動を認める場合(二峰性心尖拍動)は,心房性隆起(前収縮期)と心室性隆起(拡張早期)が考えられます.前者は聴診のIV音に相当し, 左室のコンプライアンスが低下していると考えられます(例:肥大型心筋症).後者は増大した左室への急速流入波あるいはIII音を反映します(例:高度の僧帽弁逆流).
  2. 個人的な経験では,視認で気づく二峰性心尖拍動の大部分は肥大型心筋症によるatrial kick(心房性隆起)です.マイ感度は触診≧聴診>視診の順です(過去の投稿).一方,ventricular kick(心室性隆起)はともて小さいので触知はできても視認することは極めて稀です.僕の感度は聴診>触診≫視診の順でしょうか?

松下記念病院 川崎達也)

2023-11-09

今週の一枚 🎯 ゴニョゴニョ

心電図異常(洞調律・ST-T変化)で来院した男性(座位)

😎 診察室中継
  1. 呼吸時の大きな胸壁の動きにめげずに心尖の拍動を探す
  2. 心尖拍動(矢印)を認識したら次はその位置を確認する
  3. 拍動が左乳輪外側とは言えないため心拡大はないと判断
  4. 次に拍動様式を分析:なにか”ごにょごにょ”している?
  5. 触るってみると二峰性拍動(ダブルインパルス)の疑い
  6. 拍動部位で大きなⅣ音を聴診して肥大型心筋症を疑った
  7. その後に心エコー図で心尖部肥大を確認しAPHと診断

😁 楽しい臨床
  • 二峰性心尖拍動(ダブルインパルス)と言えば肥大型心筋症です(特異度98%:当院の臨床研究).心尖部肥大型心筋症に限らず,巨大Ⅳ音を示唆する所見です.視診・触診・聴診のいずれでも診断できますが慣れが必要でしょうか?
  • 最近は,二峰性またはダブルにはあまりこだわらなくていいのではと思っています.リアルの臨床現場では本例の様に胸壁の動きも加わるため細かい判定はより難しく成ります.「なにかゴニョゴニョしているな〜」程度で十分です.
  • 先月に経験した症例はHCMでギクシャクしている心尖拍動でした.視診から肥大型心筋症を疑い,心エコー図で確認する臨床スタイルは机上の空論ではありません.誰にでも可能で,かつ日常臨床を楽しくする知識だと思います.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ松下ERランチ・カンファレンスの名物コーナー)

松下記念病院 川崎達也)

2024-04-25

今週の一枚 🎯 一発診断

心電図異常の無症候例(座位)

👭 二峰性心尖拍動(double apical impulse)
  • 左乳輪の下内側に心尖の拍動を視認
  • 健常者のタッピングとは異なる動き
  • ”グニョ グニョ”とした不思議な動き
  • 付箋では二段階モーション(矢印)
  • 最終的に心尖部肥大型心筋症と診断

👶 追加コメント
  • HCMは拡張相に移行しなければ,通常は心拡大を来たしません.よって男性なら本例のように左乳輪の内側に拍動があります(女性では正中より10 cm以内).
  • 肥大型心筋症に対する二峰性心尖拍動の診断感度・特異度・正診率は各々27%,98%,66%です(当院研究).これは心尖部型(APH)に限りません.
  • 2峰性心尖拍動は大きなA波と抬起性拍動(左室肥大を示唆)によって構成されます.よってこの部位では明瞭なⅣ音が聴診できます(もちろん触診も可能).
  • Ⅳ音は聴診よりも触診の方が気付きやすいと言われることがありますが(触ってナンボの法則),個人的には大きな雑音がなければ聴診の方が簡単...(雑音症例

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ松下ERランチ・カンファレンスの名物コーナー)

松下記念病院 川崎達也)

2019-11-04

肥大型心筋症の心尖拍動図


😶 解説
  • 駆出波(E波)の後に収縮期膨隆が続く ➜ 持続時間の長い抬起性の心尖拍動
  • よく見ると抬起性心尖拍動の直前に心房収縮波(A波)あり ➜ Ⅳ音の触知
  • P波に関連するⅣ音と二峰性心尖拍動を視診・触診・聴診でしっかり感じたい

関連投稿 👴
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2021-04-26

♒ ブルブル症例

健診で心電図異常を指摘された無症状の症例

👯 二峰性心尖拍動(Double apical impulse)
  • 触知できるⅣ音(atrial kick)+心肥大による抬起性拍動で構成されている.ダブルインパルスは触診では分かりやすいが,視診ではなかなか伝わりにくい(触ってナンボの法則 症例1症例2
  • 当院の最新データでは,二峰性心尖拍動は肥大型心筋症では83例中22例(27%)に観察できるが,他疾患では104例中2例(2%)とかなり稀.同所見の循環器外来での肥大型心筋症に対する診断能は感度27%,特異度98%,正診度66%

👬 独り言
  • 二峰性心尖拍動のように身体所見には様々な”二峰”があります.見て聴き触るブル+ブル=ブルブル=ダブルです.心臓フィジカル広場には多数のブルブル症例がアップされているので確認してみてください(コチラ
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination クスマール
松下記念病院 川崎達也)

2021-11-01

ココでは聴診より触診

胸痛で来院した症例の心音(心尖部)と心尖拍動

🍘 臨床現場
  • 収縮期に雑音があり明瞭なⅡ音を認識できるため,逆流性雑音ではなくて駆出性雑音と判断.雑音が鎖骨や頸部にも放散しているため,閉塞性肥大型心筋症ではなくて大動脈弁狭窄と予想.引き続き行った心エコー図で大動脈弁狭窄(中等度)を確認して一安心(僧帽弁逆流であることは稀でない).
  • ただし心音図をみてビックリ.大きなⅣ音(赤四角)と心尖拍動のA波増高(赤矢印)が記録されていた.もう一度聴診をやり直したが,Ⅳ音はうまく聞き取れなかった.一方,心尖部を丹念に探ると二峰性拍動が指先に伝わってきた.Ⅳ音はしばしば聴診より触診である(いわゆる触ってナンボの法則
  • このダブルインパルス(A波+抬起性拍動)は触知するⅣ音+左室肥大を反映する所見で,肥大に伴った心筋コンプライアンスの低下を生じる病態で出現しやすいことが知られている.その代表疾患は肥大型心筋症(自験例)であるが,大動脈弁狭窄に加えて高血圧性心疾患(自験例)などでも認める.

🍙 独り言
  • 大動脈弁狭窄のような大きな駆出性雑音では耳に(勝手に)フィルターがかかります.音柱の宇髄天元になったつもりで全集中しても,Ⅳ音の有無の判定は困難です(Ⅰ音すら不明瞭 😅)
  • こんな時は聴診にこだわらずに,触診に切り替えてください.指先は超高感度の圧センサーです.二峰性心尖拍動なら触診>舌圧子>視診の順に分かりやすいと思います(個人的感想 😋)
  • 一方,閉塞性肥大型心筋症のⅣ音は,心雑音があっても大動脈弁狭窄より認識しやすいと思います(自験例).雑音の直前に引っ掛かりがあります(これも個人的な感覚ですが 😤)

松下記念病院 川崎達也)

2021-07-26

ダブルリトラクション(二峰性陥凹) Double retraction

健診で心電図異常を指摘された無症状の症例

💞 解説
  • 坐位で窩部左側に周期的な皮膚面の陥凹(心尖周囲には拍動なし)
  • 時相解析から収縮期陥凹と判断 ➜ 収縮性心膜炎で有名であるが…
  • よくみると陥凹は二峰性で小さい凹が抬起性の陥凹に先行(付箋)
  • 収縮性心膜炎を示唆する所見なく最終診断は非閉塞性肥大型心筋症

💕 迷?探偵
  • 本例の拍動は部位からも左室心尖の拍動とは考えられず,右室の拍動を見ているものと推測した.実際に本例では明瞭なⅣ音を聴取したが,心尖以外の広い範囲でも確認できた(つまり右心系Ⅳ音の疑い:いわゆるどこでもⅣ音).
  • この聴診所見は,本例のダブルインパルスならぬダブルリトラクション(収縮期の二峰性陥凹)が右心系の由来という推測を支持する.ちなみに本例は右室拡大や右室肥大はなく,左室の心尖拍動の牽引(?)による右心尖周囲の偏位と思われる.

松下記念病院 川崎達也)

2020-10-26

再登場:触ってナンボの法則

心電図異常を指摘された無症状の症例

🔗 肥大型心筋症
  • 触診では典型的な二峰性の抬起性心尖拍動であった.しかし視診や舌圧子(収縮期に左方移動)では分かりにくい.抬起性拍動は明瞭であるが,その直前にあるatrial kickはあまり伝わらない.
  • これも”触ってナンボの法則”が当てはまる.右手の第2〜3指腹を拍動部に当ててみる.ダブルインパルスは肥大型心筋症の特徴であるが,視診で明瞭に認識できる例は決して多くない(自験例).
  • 視診はわずかな色調差の認識は得意であるが,微妙な凹凸の判定は苦手である.一方,指腹は超高精度の圧センサーである.フィジカルをとるときには,視診・聴診・触診をうまく使い分けたい.

🉐 関連投稿(ダブルインパルス編)

フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2018-10-28

Ⅳ音の視診・触診・聴診

肥大型心筋症の心尖拍動
  • 乳房下に抬起性の心尖拍動あり ➜ 心拡大よりも心肥大を示唆
  • よく見ると抬起性拍動の前に小さな拍動 ➜ Ⅳ音の存在を示唆

心尖部で記録した心音図と心尖拍動図
  • Ⅰ音直前に低音成分(LやM1)主体の過剰心音あり ➜ Ⅳ音を示唆
  • 過剰心音は心尖拍動図のA波と一致 ➜ 過剰心音はⅣ音と確定

実際の心尖部での心音



🐤ポイント
肥大型心筋症のⅣ音はとても明瞭なので視診・触診・聴診のすべてで確認できることがある.特に触診の二峰性心尖拍動(doubel apical impulse)は聴診によるⅣ音よりも分かりやすいことがある.本例でも聴診より触診の方が認識しやすかった.
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2023-10-09

これは指腹ではなく指先で!

検診で心電図異常を指摘された無症候例

👥 ダブルインパスルス(二峰性心尖拍動)
  • 左半側臥位で抬起性(持続時間の長い)の心尖拍動(矢印)
  • よく見るとグググといった(スムーズでない)隆起パターン
  • 付箋をつけるとその立ち上がりが一峰性でないことが分かる
  • 最終診断は肥大型心筋症(非閉塞性かつ非対称性中隔肥大)

👤 コメント
  • Double apical impulseとは小さな振れ(atrial kick=A波=心房収縮波)の後に大きな振れ(抬起性)が続く心尖拍動で,肥大型心筋症にかなり特異的です(感度27%・特異度98%)(当院の研究).つまりあればおそらく肥大型心筋症と確定可
  • 問題はダブルインパスルスを認識できるか否かです.視診・触診・聴診の中では視診が最も難しいと思いますが,これは慣れで克服できると思います.本ページには肥大型心筋症の二峰性拍動が多数アップされているので確認してみてください(ココ
  • 視覚の時間分解能は低いと思われますが,指先は超高感度の圧センサーです.何かギクシャクした隆起だと思ったら是非,指先で感じてみてください(触ってなんぼの法則).ポイントは指腹でなくて指先でしょうか.ズズンと伝わってくるでしょう.
  • 個人的にはⅣ音が好きかつ得意なので,ダブルインパスルスよりも巨大Ⅳ音(心房収縮波の音版)を信頼しています.ただし閉塞生の肥大型心筋症では収縮期雑音が過剰心音の聴診を難しくすることが少なくありません(自験例).この時は指先に全集中

松下記念病院 川崎達也)

2020-04-27

座位での心尖拍動

心尖部肥大型心筋症例の座位での心尖拍動

😀 解説
  • 左乳頭の下方内側寄りに心尖拍動を認める ➜ 心拡大はなさそう(ただし正確には仰臥位で判定
  • 拡大&スロー再生ではタッピングであるが二峰性? ➜ 実際の触診では抬起性の二峰性であった
  • 仰臥位で明瞭なダブルインパルスを確認 ➜ 二峰性の有無は座位より臥位・視診より触診実例

😳 独り言
  • 面白かったのは患者さんが「お風呂で胸まで浸かると湯面に輪っかが広がる」って教えてくれたこと.次回の診察までにその輪っかが一重なのか二重なのかを確認してもらうよう頼みました👀いつも患者さんがいろいろ教えてくれます🙇
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2023-07-03

心尖拍動も体位依存

肥大型心筋症でフォロー中の症例(症状なし)

🐤 解説
  • 左半側臥位では明瞭な抬起性心尖拍動あり
  • よく見ると付箋の振動から二峰性心尖拍動
  • ただし仰臥位では心尖拍動は不明瞭になる
  • もちろん本例では巨大Ⅳ音を聴取かつ触知

🔗 復習
  • 心尖拍動は,その位置(心拡大と関連)や様式(心肥大と関連)などを評価することが大切です.ただし頸静脈と同様に,体位によってその所見が変化します(視認性や触知率も含む)
  • 感度的には左半側臥位がベストですが,座位も簡便で悪くないと思います(必要に応じて呼吸調整).最も分かりにくい(感度が低い)のは仰臥位ですが,逆に特異度は良好でしょうか

松下記念病院 川崎達也)

2019-05-13

心尖拍動のおさらい

👻 心尖拍動から以下の所見の有無が予想できる
  • 心拡大 ➜ 心尖拍動の最外側点が鎖骨中線より外側(男性なら乳房より外側)➜ 実例
  • 心肥大 ➜ 心尖拍動が抬起性(読み方:たいきせい)➜ 実例
  • Ⅲ音 ➜ 心尖拍動後に小さな拍動(ventricular kick)➜ 実例
  • Ⅳ音 ➜ 心尖拍動が二峰性(atrial kick/ダブルインパルス)➜ 実例

フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2019-12-30

心機図

👉 定義
  • 心臓・大血管から発生し,かつ耳では聞こえない低周波の振動のうち,胸壁あるいは皮膚を介して認識しうる振動を,変換器(トランスデューサー)と増幅器を用いて波形として記録したもの 

「心疾患の視診・触診・聴診 心エコー・ドプラ所見との対比による新しい考え方」より

  • 肥大型心筋症に特徴的な所見を示した自験例

😶 心尖拍動図の解説
  • 緩徐流入波(SF)に続く大きな心房収縮波(A) ➜ A波とⅣ音(S4)の一致に注目
  • 立ち上がり点(C)は左室収縮の開始点で概ね心電図R波の頂点付近と一致する
  • 駆出点(E)後に収縮後期の小隆起(end-systole shoulder, ESS)を経て急下降
  • 肥大型心筋症ではE〜ESSの隆起が持続する抬起性拍動を形成することが多い
  • 本例は大きなA波と抬起性拍動で二峰性心尖拍動(ダブルインパルス)を形成
  • 拡張早期最低点(O)の後に急速流入波(RF)が続く ➜ Ⅲ音があればRFに一致
  • 本例はⅡ音(S2)後に低調な振動を認めるがRFとは不一致でⅢ音と断定できず

心機図に関連する過去の投稿コチラ(画面右の分類からも選択可能です)
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2020-12-07

👀 時間分解能に挑戦

ヒントなしで挑戦!




松下記念病院 川崎達也)

2023-02-20

閉塞性肥大型心筋症の身体所見:まとめ


😀 実際の所見

 😙 独り言
  • 頸静脈の増高a波や心尖のダブルインパルス力強い第4音の存在は(閉塞機転の有無に関わらず)肥大型心筋症の画像検査診断に間違いなく役立ちます.
  • 頸動脈のスパイク・ドーム波形は有名ですが僕は自信がありません.一方,偽駆出音は稀ですが独特のリズムなので,耳コピしておけば一発診断が可能です.

松下記念病院 川崎達也)

2022-03-21

肥大型心筋症のⅣ音

🔍 Ⅳ音の復習
  • 心尖部で聴取するⅠ音の直前の低調成分で,聴診器のベル部を軽くあてて聴取
  • ベル部を強く胸に押し付けたり膜部では通常,Ⅳ音は聞こえない(実際の感じ
  • 心房収縮に伴う血流が(主に)左室を拡張させる時に発生する音と考えられる
  • よって心房細動はⅣ音なし(心電図でP波があっても心房収縮がなければ同じ)
  • 心尖拍動のA波と概ね一致するため,視診や触診でも判定することが可能(
  • Ⅳ音との鑑別は駆出音Ⅰ音の分裂(Ⅳ音以外は膜部でも聞こえることで鑑別)
  • Ⅳ音は一番聴取困難な音と言われることもあるが肥大型心筋症ではとても明瞭
  • 肥大の部位や閉塞機転の有無にかかわらずHCMではⅣ音を聴取(頻度は下記)
  • 逆に洞調律の肥大型心筋症でⅣ音がなかったら心事故のリスク(当院の研究

ー 肥大型心筋症での検討(自験例)ー

👶 独り言
  • 聴診よりも心音図の方がⅣ音の検出率が高いことにはいくつかの理由があります.一つはⅠ音に近接するⅣ音は聞き取りにくいという問題です.これはベル部の押し込みによる幅広Ⅰ音の変化で認識可能です.もう一つは大動脈弁狭窄のような大きな雑音を伴う症例です.無意識に耳にフィルターがかかりるため(音響隠蔽),Ⅳ音だけでなくⅠ音の認識すら難しくなります(自験例).こんな時は触診の活用が望まれます.指先(超高感度圧センサー)で二峰性心尖拍動(ダブルインパルス)を感じてみてください(触ってなんぼの法則).

松下記念病院 川崎達也)