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2025-06-16

心音クイズ(Q9・Q10)

  • 持田製薬さんと作成している心音クイズのシーズン2 第一弾です(GROUP T inc.さんにも感謝 🙏).今回は「怠けていると言われていた若者」と「検診で心雑音を指摘された無症候例」の2症例です.現場で役立つコツにも触れています.
  • 今後も3ヵ月毎に2症例ずつアップする予定です(次回は2025年8月の予定).無料なのでよろしければご覧ください(※Q3以降は初回のみ簡単な登録が必要).一緒に聴診学の楽しさと奥深さを共有できれば作成者としては嬉しい限りです 😁


松下記念病院 川崎達也)

2025-06-12

Ⅳ音消失し頚静脈出現

急に息遣いが荒くなった症例(座位)

😊 解説
  • 呼吸と嚥下に伴う頚部の動きが目立つ
  • 内頚静脈の拍動を判定することは困難
  • 吸気負荷後も内頚静脈はやはり難しい
  • しかし外頚静脈の拍動は明瞭(矢印)
  • 最終診断は心房細動による心不全悪化

💁 独り言
  • 本例の基礎疾患は肥大型心筋症でした.同疾患では左室コンプライアンスが低しているため,心房は常に過負荷状態です.左室への血液充満に対する心房の果たす役割が大きく,心房細動を生じたときのダメージは他の疾患より大と思われます.いわゆる「HCMでS4消失し頚静脈出現」というやつです.
  • 肥大型心筋症では洞調律にも関わらずⅣ音を認めない症例が少なからず存在します.このような症例では運動耐容能が低下し(当院の臨床研究),心血管事故も多い(当院の臨床研究)と思われます.でもⅣ音が明瞭でも油断は禁物です.心房に頼る血行動態が,細動で一気に破綻することがあります.

松下記念病院 川崎達也)

2025-06-09

フィジカルクイズ(No. 7 & 8)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週金曜日に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2025-06-05

息切れ:心 vs 肺

労作時の息切れで受診した症例(座位)

解説 💨
  • 胸鎖乳突筋の肥大・発達(他部は陥凹)
  • 吸気で頚部が全体的に陥凹(陥没呼吸)
  • 気管短縮と呼気時間延長もありそう?
  • 通常呼吸で内頚静脈の拍動は視認せず
  • 吸気負荷でも内頚静脈の拍動は見えず
  • 最終診断は肺疾患(非心原性)息切れ

肺疾患の身体所見 💦
  • 慢性閉塞性肺疾患 COPD などの肺疾患では,胸鎖乳突筋の肥大・発達,気管短縮,呼気時間延長,陥没呼吸フーバー徴候などが知られています.
  • 経過の長い例では胸はビール樽状胸(barrel-shaped thorax)や後彎(kyphosis)を伴うこともあります.もっとも日本人では稀なようですが...
  • 胸郭の伸展性低下も重要だそうです.親指を棘突起に向けて手をあて深吸気による可動性を確認(正常では4~6cmは拡大するがCOPDでは低下します)


松下記念病院 川崎達也)

2025-06-02

心尖拍動の呼吸負荷(座位)

心機能の評価目的で来院(座位)

👉 解説
  • 座位で明瞭な心尖の拍動を認める(矢印)
  • 持続時間の長い抬起性拍動で心肥大の疑い
  • 拍動の最外側部は左乳輪外で心拡大の疑い
  • 矢印の上下肋間にも拍動あり心拡大に合致
  • 拍動は吸気で不明瞭化,呼気で明瞭化した
  • 本例はLVEF 20%で遠心性心肥大を認めた

👍 現場実況
  • 患者さんとの初診時の挨拶前,頚静脈に注目していたが拍動を視認しなった.「心不全であっても代償されているのかな~」と思っていた.実際にご本人も,「日常生活では息切れなどの自覚症状はない」と述べた.
  • しかし(動画から分かるように)荒い息遣いが気になった.こういう場合は,日常生活を無意識に制限しているか,認知症を合併してることが多い(非代償性心不全でも自覚症状がないという認知症の自験例 → ココ
  • 本例には明らかな認知機能障害はないようなので,極めて狭い範囲での生活が予想された.心不全(HFrEF)に対するGDMT(guideline-directed medical therapy/診療ガイドラインに基づく標準的治療)を開始
  • 本例の心尖拍動は吸気時に不明瞭化し,呼気時に(少し?)明瞭化している.これは呼吸に伴う胸郭容積の変化を考慮すれば納得いく変化.心尖拍動の評価時には,頚静脈と異なり呼吸負荷は不要(と思っています)

松下記念病院 川崎達也)

2025-05-29

頚部で動脈拍動と静脈拍動を同時に視認すれば…part 2

息切れで来院した症例(座位)

👼 解説
  • 頚部全体が周期的に隆起(動脈 or 静脈)
  • 下部~上部がほぼ同時の隆起で動脈の疑い
  • 吸気で外頚静脈の怒張(膨隆+拍動なし)
  • クスマウル徴候陽性→右房圧の上昇の疑い
  • 最終的に中等度のARを伴う心不全と診断

👳 独り言
  • 先日,頚部で収縮期に動脈拍動(隆起=コリガン脈)と静脈拍動(陥凹=右房圧の上昇)を同時に視認した高心拍出性の心不全例を経験(ココ
  • 本例は少し違うパターンの動脈拍動と静脈拍動が併存した高心拍出性の心不全です.この2例は一週間ほど間に連続して当科を紹介受診しました.
  • 臨床現場では不思議と「このように稀な症例が続くんだ~」と感じることがあります.しかし実は今まで気づいてなかっただけかもしれません...😅

松下記念病院 川崎達也)

2025-05-26

フィジカルクイズ(No. 5 & 6)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週金曜日に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.



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松下記念病院 川崎達也)

2025-05-22

2PとS3の聴き比べ

倦怠感を自覚している症例

😎 解説
  • 第3肋間胸骨左縁(3L)でS2が明瞭に分裂している。健康な成人でもしばしば分裂するが(特に吸気時)、通常は前半(2A、大動脈弁成分)が後半(2P、肺動脈弁成分)よりも大きい。本例のように2Pが2Aよりも大きい場合、肺高血圧が示唆される。肺高血圧で2Pが亢進する機序は、収縮末期に肺動脈と右室間の圧較差が大きくなり肺動脈弁の閉鎖速度および閉鎖後の振動が増加するためと考えられている。本例では心尖部で大きなS3も認め、最終的に拡張型心筋症による左心不全と診断された。
😛 深堀
  • 2Pは高調成分が主体であるため、その聴取には特別な技術は要らない。エルプ領域(2L~3L)で聴診器の膜を用いて評価すればよい。しかし2Pが亢進していると判断するにはある程度の慣れが必要である(英語の疑問文のように上がり調子↗)。S3が鑑別に含まれるが、通常S3は心尖部に限局する低調音で聴診器の膜では聴取できない。また2PとS3は出現するタイミングも異なる(目安:2A-2P間隔は~70ms、2A-S3間隔は100~200ms)。2P亢進とS3が共存する本例で、その音感やタイミング、出現場所の違いを実感して欲しい。繰り返すが聴診のコツは耳で覚えること。お気に入りの曲のイントロと同じ😊

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

松下記念病院 川崎達也)

2025-05-19

腹部大動脈瘤による重複脈(Dicrotic Pulse)

  • 定義 大動脈瘤に関連し,1心周期中に2つの異なる脈波が発生した状態(収縮期上昇+低い重複切痕+顕著な拡張期上昇)
  • 機序 正常大動脈と大動脈瘤のインピーダンスの急激な変化により、瘤の近位端と遠位端の両方で脈波の反射が発生する
  • 成分 心収縮によって生成される前方脈波および大動脈瘤から反射された後方脈波との相互作用による異常な動脈圧波形
  • 病態 重複脈(または重拍脈)を示す他の病態には重症の心不全や心タンポナーデ、循環血液量減少、敗血症などがある

- 腹部大動脈瘤の66歳男性の術前(左)と術後(右)-


松下記念病院 川崎達也)

2025-05-15

ギャロップ → ギャロップ

呼吸困難感を訴える症例(来院時と治療2週間後)

😎 解説
  • 聴診器のベルを用いて心尖部で聴取される独特の音感に注目して欲しい。これは馬が駆けるリズムに似ることからギャロップ(gallop)と呼ばれ、非代償性心不全を示唆する。特に左側臥位で聴こえやすいが、呼吸困難感が強い時に臥床の体位は難しい。荒い呼吸時や騒がしい救急現場での認識は必ずしも容易ではないが、重症心不全を強く示唆するためその臨床的意義は高い。なお治療2週間後にもギャロップは消失していない。
😛 深堀
  • ギャロップを構成する過剰心音にはS3とS4があり、各々S3ギャロップ(心室性奔馬調)やS4ギャロップ(心房性奔馬調)と呼ばれている。S3とS4が重なる重合奔馬調律やS3とS4を同時に認める四部調律という病態もある。本例は来院時は重合奔馬調律で,2週間後は四部調律と考えられた。心不全の治療に伴い心拍数が低下して,重合奔馬調律が四部調律に変化することは臨床現場でしばしば経験される。

松下記念病院 川崎達也)

2025-05-12

フィジカルクイズ(No. 3 & 4)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週金曜日に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.



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松下記念病院 川崎達也)

2025-05-08

いつもと少し違う拡張期雑音

急に息切れを自覚するようになった症例

😎 解説
  • 拡張期雑音が急速に減弱して,Ⅰ音(S1)の手前で終了している点に注目.急性の大動脈弁逆流症では左室拡張期圧が急激に上昇するため,拡張期雑音が速やかに減弱して拡張早期~中期に終了する.
  • 一方,慢性の大動脈弁逆流症では,雑音が拡張末期(S1)まで持続する(自験例).本例は心エコー図で,右冠尖の逸脱(fenestration破綻の疑い)による急性の大動脈弁逆流(重症)と診断された.
😛 深堀
  • 慢性の大動脈弁逆流では高調成分が主体の穏やかな雑音であるが(自験例),本例のような急性の大動脈弁逆流では低調成分も加わるため荒々しい(harsh)音になることが少なくない.
  • 本例はエルプ領域(3L)で,雑音に埋没するⅡ音肺動脈成分の亢進が疑われた(下図).これは肺高血圧を反映していると思われる.こんなふうに細部にこだわった聴診は面白いと思う.

松下記念病院 川崎達也)

2025-05-05

頚部で動脈拍動と静脈拍動を同時に視認すれば…

下腿浮腫が悪化した症例(座位)

😊 解説
  • 頚部中央に周期的隆起(動脈 or 静脈)
  • よく見ると周期的な二峰性陥凹(矢印)
  • 陥凹は必ず静脈なので頚部中央は動脈!
  • 吸気負荷で陽性波は変化なし(=動脈)
  • 静脈拍動は筋肉の緊張で見えなくなった
  • 最終診断は連合弁膜症の非代償性心不全

💁 コメント
  • 頚部で動脈拍動と静脈拍動を同時に視認すれば,ぜひ時相に注目してください.頚部の隆起時(収縮期)に内頚静脈が陥凹(x谷)しているはずです.そして頚部の隆起の終了後(拡張期)に頚静脈の二つ目の陥凹(y谷)が出現しているはずです.もっとも座位では静脈圧の伝播速度が動脈よりも遅れるためか,本例では少しぎくしゃくした動きになっていますが…
  • 頚部で動脈拍動と静脈拍動を同時に視認すれば,高心拍出性の心不全が疑われます.動脈拍動は大脈であるコリガン脈を示唆し,静脈拍動は右房圧の高度上昇を意味するためです.なお本例では吸気負荷を行っていますが,安静時に拍動を視認すれば,負荷後に見えなくても心不全です

松下記念病院 川崎達也)

2025-05-01

深堀聴診

心雑音を指摘された症例

😎 解説
  • 拡張期すべてに持続する雑音(全拡張期雑音)を認める.本例のような雑音は灌水様あるいは吹鳴すいめい性(blowing)などと表現され,高調成分が主体である(心音図).
  • 急性の大動脈弁逆流では左室拡張期圧が急激に増加するため、逆流音が拡張中期あたりで終了してしまうことが多い.よって本例は慢性の大動脈弁逆流であると判断できる.
😛 深堀
  • 本例ではⅠ音(S1)が分裂しているように聞こえる.その一部は高調成分が主体であるため(心音図),駆出音が疑われた.駆出音は半月弁の開放により生じると考えられ,日常臨床では大動脈二尖弁で有名である(本例は一尖弁).心エコー図を行う前の聴診でこのようなことを考えると,心エコー図の結果をみるのがもっと楽しくなるかも...

松下記念病院 川崎達也)

2025-04-28

フィジカルクイズ(No. 1 & 2)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週金曜日に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2025-04-24

二重罠

息切れでERに搬入された男性(座位)

😐 解説
  • 頚部に周期的に陥凹あり(矢印)
  • 呼吸と同調しているため陥没呼吸
  • 頚静脈の明らかな拍動は視認せず
  • 最終診断は初発心不全(PEF, CS1)
👺 つぶやき
  • 本例の肥満の程度は軽度ですが,顎下や顎のラインが不明瞭なことに要注意.このような症例では,内頚静脈の拍動が観察困難なことが少なくありません(同様の自験例).これは内頚静脈が深部静脈であり,胸鎖乳突筋を介した皮膚面の拍動として描出される以上,不可避です.
  • 陥没呼吸は努力呼吸時に出現する身体所見の一つで,喘息発作時(自験例)や慢性閉塞性肺疾患(COPD)症例(自験例)などの呼吸器疾患で出てくることが多いと思います.本例ではしっかり見ないと「頚部の陥凹で心不全」となり結果は正解ですが...(プロセスは🙅)


松下記念病院 川崎達也)

2025-04-21

感染性心内膜炎:末梢サインの頻度

  • 感染性心内膜炎の身体所見では心雑音と末梢サインに注目します.心雑音や音質変化は感染性心内膜炎を示唆しますが,初診の症例でその判定は困難です.心雑音を認めない症例も3~4割あります(Eur Heart J 2023;44:3948-4042).
  • 一方,末梢サインの感度は低めですが,とても高い特異度を有しています.月間心エコーで原稿依頼を受けたときに,その出現頻度を調べたのでここに記載しておきます(調査した論文は心エコー 2025;26:22-6を参照してください).

末梢サイン 出現頻度
点状出血 0.6~30%
オスラー結節 1.9~10%
ジェインウェイ病変 1.6~10%
スプリンター出血 10~26%

😊 おまけ
  • 感染性心内膜炎のDuke診断基準が2023年に更新(Duke ISCVID基準:Clin Infect Dis 2023;77:518-26)され,末梢サインは臨床診断の小基準として今回も明記されています.心雑音に関しては新規の逆流性雑音に限ると記載
  • 末梢サインは,出現や消退が病期や病勢に影響され,塞栓に由来する所見は左心系の病態に限られますが,高い特異性を有しています.鑑別診断に感染性心内膜炎が含まれる病態ではエコー前に是非,確認したい所見です


松下記念病院 川崎達也)

2025-04-17

今週の一枚 🎯

大動脈瘤を指摘された男性



松下記念病院 川崎)

2025-04-14

フィジカル検定

  • 第22回循環器Physical Examination講習会(2025.3.22-23)で実施した特別企画『フィジカル検定』の解答ホームをリンクします(主催者の許諾を取得済).
  • 実際の問題(身体所見)は供覧できませんが,解答フォームだけでも役立つかと思います(正答と簡単なフィードバックあり).よろしければご覧ください.



松下記念病院 川崎達也)

2025-04-10

夢叶う Dreams come true

  • 2025年3月28日に新しい心不全ガイドラインが公開されました.そして遂に頚静脈の座位定性法が記載されました(下の上図).おまけに吸気負荷の有用性も併記されています.その部位で引用されているのが2論文です(下の下図).
  • 最初の論文は頚静脈の座位定性法を(初めて?)報告したフィンランドのSinisaloらの報告です(Am J Cardiol 2007;100:1779-81).もう一つはなんと座位定性法に吸気負荷を加えた当院の報告です(Am J Cardiol 2022:170:71-5).


🕔 特別な朝
  • この日は(いつも通り)5時前に起きて,真っ先に日循ホームページを覗いてみました.そして更新された心不全ガイドラインの図と文言を見てとても驚きました.予想を大幅に上回る改定で,おまけに引用論文も最高です.この変更は前もって何も知らされていませんでした(僕レベルでは当然😅)
  • 早速(おそらく今回の改定に尽力していただいた)先生にお礼のメールをしました.すると5分後に「いままで使われていなかったことが問題...これから広めていきましょう」とお返事をいただきました.時計はまだ6時にはなっていません.とても素晴らしい朝になりました.本当に夢が叶いました.


松下記念病院 川崎達也)

2025-04-07

2024年度SNS解析:循環器Physical Examination講習会

  • 2024年3月に開催された循環器Physical Examination講習会の動画切り抜きを毎週リリースしてきました.その一年間のデータを解析しました.
  • SNSの4大プラットフォームで,計139,786再生されていました.1動画あたりでは平均2,589再生(最小1,125~最大11,877)でした.
  • ニッチな領域であるためSNSアルゴリズムにハマってバズることはないと思われますが,多くの方にご覧いただけたことに感謝いたします. 

😀 SNSごとの解析
  • X (Twitter)➜ 計93,664再生 平均1,735(523~11,000)
  • Instagram ➜ 計6,763再生 平均125(22~808)
  • TikTok ➜ 計27,051再生 平均501(37~1,211)
  • YouTube ➜ 計12,308再生 平均228(22~618)

- 2024年度の最多再生数動画:計11,877再生 -

松下記念病院 川崎達也)

2025-04-03

\負荷頚静脈法:新たな心不全評価/

  • 日本医事新報に総説を執筆させていただく機会を得ました(感謝)。頚静脈を用いた心不全診療で、私の知識と経験のすべてを盛り込みました。
  • 選び抜いた動画19点と図15点(自作)を含む全24ページの温故知新です。同時に電子書籍としても発行されました。よろしければぜひご覧ください。


(電子書籍⭐️コチラ) 

😊 追記 
  • 日本医事新報は1921年(大正10年)創刊で、毎週土曜日に発行されています(定価1,100円)。現在する商業医学誌では最古の一つで、発行部数はなんと39,500部(週刊)
  • ちなみに日本内科学会雑誌の第1巻は1913年発行で、毎月10日に刊行(臨時増刊号を含め年間13回の刊行)。発行部数は2022年2月10日時点で10万9,300部だそうです。

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-31

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


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松下記念病院 川崎達也)

2025-03-27

負荷の組み合わせ

心筋梗塞後の症例(座位)

🐔 解説
  • 安静では頚部に明らかな拍動なし
  • 吸気保持で拍動が出現?(矢印)
  • 吸気を保持したまま座位➜立位へ
  • 微妙な頚部の拍動は完全に消失!

    🐙 コメント
  • 本例は治療によってHFrEFからHFpEFに改善したHFrecEF症例です.深吸気保持(前負荷増加)で拍動が出現しているなら,中心静脈圧(≒右房圧)は軽度~中等度に上昇していると考えられます.しかし座位から立位への体位変換(前負荷減少)では中心静脈圧は低下しています. 実際に本例はテニスを楽しんでいます.
  • 吸気負荷などで頚静脈拍動が出現しても,立位で消失する症例は日常生活に支障が少ないと思います(自験例).逆に立位になっても拍動が持続する症例は,労作時の息切れが問題になることが多いようです(自験例).さまざまな負荷が可能なシンプル頚静脈©は,心不全管理管理で無限の可能性を秘めているかも...😁

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-24

CareNet 「今日の所見」

株式会社ケアネット(CareNet, Inc.)
  • 1996年創業の医療関係者向けのサービス提供などを行う日本の情報サービス会社
  • 2000年開設のCareNet.comは医師22万人を含む会員数44万人以上(2023年10月)
  • 今日の所見」はケアネットで平日(月~金)に一問ずつ提示される画像クイズ
  • この3月から毎週水曜日を担当することになりました(循環器の身体所見に特化)
  • 無料で過去1週間のクイズがご覧いただけます(初回のみ簡単な登録が必要です)


👶 独り言
  • 当院の循環器内科や初期研修医に伝えたら多くが既に利用していました.
  • 本気でポイントを貯めている(ポイ活)メンバーもいてびっくりでした.

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-20

医療は人文学

陳旧性心筋梗塞の既往がある症例(座位)

💦 現場実況
  • 患者さんは特に体調変化はないと言う
  • 今日は頚を確認しにくい服を着ている
  • 安静座位で明らかな頚部の拍動はない
  • しかし深吸気の保持で拍動出現(矢印)
  • BNPは200台から400台に増加していた

😐 独り言
  • 患者さんの主治医に対する心理には二通りある(と思う).一つは過剰に心配して体調の変化を伝えようとする姿勢.もう一つは逆に症状の悪化時にはなるだけ隠そうとする姿勢.
  • 本例は駆出率が低下したHFrEFであったが,心不全入院はなく,状態は長年安定した.しかし今日に限って頚部を確認しにくい(首元が締まった)シャツを着ている(と感じた).
  • 毎回,頚部を確認しその意義をご本人にも伝えていたことを考慮すると,なんとなく患者さんの心理が伝わってきた.心不全の悪化を主治医に悟られたくなかったのだろう
  • あえてシャツのボタンをはずしてもらうことはしなかった.症状に変わりはないと主張するが,心不全が悪化している可能性をそっと伝えた.減塩指導と早めの再診を指示した.

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-17

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


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松下記念病院 川崎達也)

2025-03-14

🏆 論文

  • 循環器内科の本田先生が執筆されたケースレポートが出版されました
  • 収縮期雑音を呈した動脈管開存(PDA)の一例です(連続雑音なし)
  • 軽度肺高血圧のみでEisenmenger(アイゼンメンジャー)症候群なし
  • 心エコー図では拡張期にも短絡シグナルが描出されますが雑音なし

🎉 PDA雑音
  • PDA患者の典型的な雑音といえばもちろん(第2音で途切れることなく持続する)連続性雑音です。本例のような大動脈-肺動脈シャントに加えて、動静脈シャント(冠動脈動静脈瘻、右心室へのバルサルバ洞動脈瘤破裂など)や動脈および静脈の流れの変化(静脈雑音乳腺雑音甲状腺雑音など)があります。
  • 肺高血圧を伴うと拡張期雑音が消失することは理にかなっています。ただし本例の肺高血圧は軽度でした(平均圧28 mmHg、1.4~2.1 WU)。本例では収縮期雑音のみを聴取かつ記録した正確な原因は不明ですが、貧血や肝硬変などの併存疾患が非典型的なPDA雑音に変化させたと考えるのが妥当でしょうか?
  • Eisenmenger患者にみられるように、大動脈圧と肺動脈圧の平衡例では、雑音が完全に消失し無音性PDAになります(一部の症例では拡張期雑音のみ)。PDA雑音の性状は、肺動脈内のジェットの方向によっても変化するようです。本論文の考察ではこの辺りを(少し)深堀したので興味がある方はご覧ください。


👉「論文」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-13

立位負荷と日常生活

慢性心不全例(HFpEFでEF=60%)

💁 解説
  • 頚部に血管の隆起あり(外頚静脈)
  • 吸気時虚脱(クスマウル徴候陰性)
  • 鎖骨上窩の周期的陥凹は呼吸性変動
  • 吸気負荷で頚部に拍動出現(矢印)
  • 内頚静脈の拍動であり心不全の状態
  • 座位から立位の体位変換で拍動消失

👻 補足
  • 本例は様々は治療を行っても内頚静脈の座位所見が陰転化しない慢性心不全例です.ただし日常生活には支障はなく,長年安定しています.
  • 座位から立位という体位変換はもちろん心臓にとっての大きな仕事です.しかし立位による前負荷(静脈還流)の低下は心負担を減らします.
  • 本例のように立位で内頚静脈所見が悪化しないあるいは陰性である症例は自覚症状に乏しいことが多いと思います(立位でも陽性の自験例

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-10

心不全と長母音(声)

  • 急性の非代償性心不全では発声も注目すべき身体所見の一つになるようです.肺うっ血などによる息切れに加えて,声帯浮腫などの影響があるようです.心不全症例に「あ~」と言ってみてくださいという日が来るのかもしれません(すでに実施されている施設が少なくなかったりして…😅)

🚨 臨床研究Appl Sci (Basel) 2023;13:1827
  • 急性心不全で入院した患者52人の会話を毎日記録
  • 音声と会話の特徴を同定し治療中との関連を調査
  • 治療後は治療前より安定(明瞭で速くて長い発声)


😀 独り言
  • 息切れの判定方法としてはリハビリ中のトークテスト(Talk test)が有名です.運動強度を推定する簡便な方法の一つで,快適に会話しながら行える運動強度はおおむね安全に実施できることがガイドラインにも記載されています. 
  • 昨年の心不全学会での講演で,「長母音を18秒出せれば5メッツ以上の運動耐容能」ということを耳にしました(論文を探し出せず).循環器診療では身体所見が大切ですが,音声に関してはまだこれからの領域かもしれません.

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-06

診る練習ビデオ

心雑音で来院した症例

👀 解説
  • 安静では指先に特記すべき所見なし
  • 圧迫時の爪床の中部~遠位部に注目
  • 白色とピンク色の色調変化に気づく
  • 最終診断は二尖弁の大動脈弁逆流症

👂 独り言
  • 心音(特にⅢ音やⅣ音などの低調音)は,何度も聴いて耳に覚え込まします.視覚も同じです.何度も見ていると僅かな変化にも気が付きます.
  • この動画はそういった眼の練習に最適と思われます.本例は中等度の大動脈弁逆流ですが,中等度以上なら,ほぼクインケ徴候は観察できます.
  • 本コンテンツには大動脈弁逆流例の爪床変化が多くアップされています(コチラから).爪圧迫以外の描出ワザも是非,マスターしてください.

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-03

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


👻「フィジカル講習会」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2025-02-27

🏆 論文

  • 初期研修医の西機先生が循環器内科で経験した症例がPubMedに収載
  • 左室中部閉塞の形態を呈したATTR心臓アミロイドーシスの一例です
  • 洞調律なのにⅣ音を欠き,OKサイン(Perfect O sign)も不可でした
  • 心アミでParadoxic Jet Flow(奇異性血流)を描出した世界初の報告

🎉 Paradoxic Jet Flow: PJF(奇異性血流)
  • 拡張早期に心尖部から心基部に向かう血流シグナルで,心尖部ポーチの存在の間接的な証拠です.当科は本所見にとても興味を持つ医師が複数名在籍して,今までにPJFに関連する世界初と思われる症例を報告してきました.
  • 例えばPJF雑音(Tex Heart Inst J 2018;45:102-5),運動誘発PJF(J Cardiol Cases 2021;23:170-2),右心系PJF(J Med Cases 2020;11:57-60)などです.とてもニッチな所見ですが,これからもこだわっていこうと思います.

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松下記念病院 川崎達也)

2025-02-24

脱水とうっ血

大動脈弁位人工弁症例の息切れ(座位)

💦 解説
  • 頚部の皮膚は乾燥して張りがない
  • 安静時に頚部に拍動もある(矢印)
  • 吸気で拍動の明瞭化 ➜ 内頚静脈
  • 皮膚をつまむ ➜ ツルゴール低下

😐 追加コメント
  • 本例は視診で中心静脈圧上昇(心不全)と血管内脱水と診断できそう
  • BNP値は300台であったがご本人の息切れや倦怠感の訴えは強かった
  • もちろんこのような症例には安易な利尿薬追加や減塩指導は避けたい
  • 血圧が正常高値であったため降圧薬の強化と心臓リハビリを追加した

松下記念病院 川崎達也)

2025-02-20

😊 素敵な紹介 パート2

なんとなく元気がない慢性心不全例(座位)

💁 ランチシ徴候(三尖弁逆流)
  • 頚部の中央に明瞭な拍動(隆起)あり
  • 容易に圧迫されるため動脈でなく静脈
  • 心エコー図で高度の三尖弁逆流を確認
  • 推定される肺動脈収縮期圧は50 mmHg
  • 整脈かと思ったが心電図では心房細動
  • 最終的に心不全(PEF)の増悪と診断

 📧 共通言語「座位で頚静脈が見える」
  • 本例もかかりつけ医からの紹介がとても素敵であった(前回の素敵な紹介).「足に浮腫はないけど,首がピコピコしています」と...👍
  • 頚静脈の座位定性法が広がると,心不全の診断をより迅速に行うことができます.無料アプリ「シンプル頚静脈©」を是非ご活用ください
  • 病院やクリニック,救急隊,施設職員だけでなく,心不全患者さんやその家族にもこの表現が共通言語として広がることを願っています.

(無料画像から作成)

松下記念病院 川崎達也)

2025-02-17

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


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松下記念病院 川崎達也)

2025-02-13

健常者の心機図

フリーの画像がなくて苦労されているとお聞きしたのでPPTで作成してみました(版権放棄😙ご自由にお使いください) 
  • 心電図
  • 心音図
  • 頚動脈波曲線
  • 頚静脈波曲線
  • 心尖拍動図


松下記念病院 川崎達也)

2025-02-10

心音クイズ(Q7・Q8)

  • 持田製薬さんと作成している心音クイズの第四弾です(GROUP T inc.さんにも感謝 🙏).今回はⅡ音肺動脈成分の亢進とⅢ音が共存した症例および重合奔馬調律から四部調律に変化した症例を取り上げました.5領域(2R, 2L, 3L, 4L, 心尖部)の心音と複数の心音図を提示しています.是非,心音の違い(変化)を聴き比べてみてください.
  • 今回でシーズン1(3ヵ月毎2症例計8例)が終了しました.そしてシーズン2も始まることが決定しました 😁 無料なのでよろしければご覧ください(※Q3以降は簡単な登録が必要).一緒に聴診学の楽しさと奥深さを共有できれば作成者としては嬉しい限りです .


松下記念病院 川崎達也)

2025-02-06

頚静脈の座位定性法も無敵ではありません

鼠経ヘルニア術前に心電図異常を指摘された症例(座位)


  • 息切れなど心不全を示唆する症状はないが,BNP値は150 pg/ml程度に上昇していた.心エコー図には特記すべき異常所見はなし.
  • 心不全の有無を判定するため頚部を観察したが,大きな腫瘍に占拠されていた.橋本病による長い治療歴あり(現在はeuthyroid)
  • 心音でも心不全を示唆する所見(Ⅲ音やⅡ音肺動脈成分の亢進など)はなし.日常生活から判定した運動耐容能も保たれていた.
  • 胸部圧迫感の自覚はなく,冠危険因子も高血圧のみ.最終的に手術に支障はないと判断して,紹介元の外科医に返書を作成した.
  • 稀ながら頚静脈の座位定性法が困難が状況がある.甲状腺疾患による甲状腺腫肥満猪首,座位姿勢の困難例などが相当する.

松下記念病院 川崎達也)

2025-02-03

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です。「生きた physical examination」を体感・習得して、「感動できる」ものにしていきたいと思っています。毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


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松下記念病院 川崎達也)

2025-01-30

今週の一枚 🎯

胸痛で来院した中年男性



松下記念病院 川崎)

2025-01-27

仕事外で訪れた老人ホームで...

下腿浮腫があるとスタッフから聞きました(座位)

👵 解説
  • 両側の下腿浮腫(圧痕性)
  • 頚部に眼をやると拍動あり
  • 拍動は陥凹なので頚静脈!
  • 非代償性心不全と診断した

 👴 現場実況
  • 本例のバイタルサインは安定し,息切れなど心不全を示唆する症状は全くありませんでした.ほとんどの時間をベットに腰かけて過ごしているため,施設のスタッフは重力による水分貯留と判断していたようです.
  • 内頚静脈の判定方法(シンプル頚静脈©)を施設スタッフにお伝えました.幸い翌々日が施設担当医の診察日で,そこで利尿薬が処方され改善 😀 原因はお菓子の大量消費による塩分過多と思われました 😮

松下記念病院 川崎達也)

2025-01-23

顎下と顎のラインにも注目

息切れが再発した拡張型心筋症例(座位)

😐 解説
  • 安静座位で頚部に拍動は視認しない
  • 深吸気(保持)でも拍動は出現せず
  • BNP値は157 → 1,400 pg/mLに著増
  • 最終的に心不全増悪と診断して入院
💁 追加コメント
  • 内頚静脈は深部静脈であるため胸鎖乳突筋を介する皮膚面の拍動として認識されます.よって本例のように評価が難しい場合があります.一方,外頚静脈は表在静脈であるため視認は容易ですが,中心静脈圧の推定には不向きです(その理由).
  • 高度の肥満では内頚静脈の観察は困難になります(本例のBMIは約35 kg/m2).BMIがあまり大きくなくても首が太くて短い場合(いわゆる猪首)では同様に観察が困難です.一つの目安は顎下や顎のラインが不明瞭なことでしょうか(下図)


松下記念病院 川崎達也)

2025-01-20

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


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2025-01-16

今週の一枚 🎯

発熱が続く症例の眼瞼結膜

👀 点状出血(Petechiae)
  • 右の眼瞼結膜に複数の点状出血を認める
  • 収縮期雑音はあるが大動脈弁位は人工弁
  • 他の末梢サイン(オスラー結節など)無
  • 経胸壁心エコーで大動脈弁周囲は不鮮明
  • 経食道心エコーで大動脈弁の疣腫を確認
  • 血液培養4ボトルから全てE. faecalis検出
  • 最終診断はもちろん感染性心内膜炎(IE)

😐 IEあれこれ
  • 感染性心内膜炎で血管塞栓に関連した無痛性の点状出血が生じることは,カナダ生まれの内科医であるSir William Osler(1849–1919)が19世紀に既に記載している(Br Med J 1885;1:522-26).
  • その出現頻度は罹患部位や病期によって異なると思われるが,0.6~30%と報告されている(月間心エコー 2025年1月号).体のあらゆる部分に出現するが,眼瞼結膜や口腔粘膜が検出しやすい.
  • 感染性心内膜炎のDuke診断基準が2023年に改定された(Clin Infect Dis 2023;77:518-26).このDuke-ISCVIDクライテリアでも末梢サインは臨床診断の小基準として明記されている.
  • ちなみに欧州で行われた感染性心内膜炎3011例の前向きコホート研究(Eur Heart J 2019;40:3222-32)では,22.3%に発熱がなく,34.9%では心雑音を欠いていたことにも注目しておきたい.

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松下記念病院 川崎)