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2026-01-19

ChatGPT(GPT-5.2)の返答

  • AIを仕事で利用する頻度がとても増えました.とんでもない嘘を自信満々で答えるときがあるため,返答を鵜吞みにすることはできません.しかし大いに参考になります(特に基本的な知識がある領域)
  • AIは進化がとても早い領域です.その変化を知るため現時点のレベルをまとめておきます.各設問に対するAIの答えをそのまま記載します.忘れなかったら😅1年後に同じことを最新AIに問うてみます

 
Q1 心尖拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 心尖拍動は左心室収縮により生じる胸壁の拍動で、心機能評価に重要な身体所見である。正常では左第5肋間・鎖骨中線上に触知され、範囲は限局する。外側・下方への偏位は心拡大を示唆し、びまん性で強い拍動は左心室肥大や容量負荷を考える。触知困難な場合は肺気腫や肥満が原因となることがある。このように心尖拍動は心疾患の存在や重症度推定に有用である。

Q2 心音の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 心音は心臓の弁運動や血流変化により生じ、心機能や弁膜症評価に重要な身体所見である。第Ⅰ音は房室弁閉鎖を反映し、増強は頻脈や僧帽弁狭窄、減弱は心筋障害を示唆する。第Ⅱ音は半月弁閉鎖音で、分裂の変化は肺高血圧や右脚ブロックなどの診断に有用である。第Ⅲ音は容量負荷や心不全、第Ⅳ音は心室拡張障害を示すことが多い。さらに心雑音の有無や性状から弁膜症や先天性心疾患の推定が可能であり、心音聴診は非侵襲的に循環器疾患を評価できる基本かつ重要な診察手技である。

Q3 頚静脈拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 頚静脈拍動は右心系の圧・容量状態を反映する重要な身体所見である。内頚静脈の拍動を観察することで中心静脈圧を推定でき、右心不全、容量負荷、脱水の評価に有用である。正常では半坐位で鎖骨上に軽度の拍動を認める程度であり、明らかな怒張は右心不全、三尖弁閉鎖不全、心タンポナーデ、収縮性心膜炎などを示唆する。波形の観察も重要で、a波増高は右房圧上昇、v波増高は三尖弁閉鎖不全を考える。Kussmaul徴候(吸気時の頚静脈怒張増強)は収縮性心膜炎や右室梗塞に特徴的である。頚静脈拍動は非侵襲的かつ迅速に右心機能を評価でき、循環動態把握に欠かせない所見である。

Q4 頚動脈拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 頚動脈拍動は左心室からの駆出血流を直接反映する重要な身体所見であり、心拍出量や大動脈弁疾患の評価に有用である。正常では立ち上がりが速く、なだらかに下降する拍動を触知する。拍動の減弱や遅延(parvus et tardus)は大動脈弁狭窄を示唆し、逆に強く跳ねるような拍動(bounding pulse)は大動脈弁閉鎖不全や高拍出状態で認められる。二峰性拍動は肥大型心筋症を、拍動の左右差は頚動脈狭窄や大動脈解離を疑う所見となる。また、頚動脈雑音の聴取は動脈硬化性病変のスクリーニングとして重要である。頚動脈拍動の触診・聴診は簡便かつ非侵襲的に全身循環や弁膜症の手がかりを得られるため、循環器診察における基本かつ不可欠な所見である。

Q5 傍胸骨拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 傍胸骨拍動は胸骨左縁で触知される心拍動で、主に右心系や心室負荷の状態を反映する重要な身体所見である。正常では明瞭に触知されないが、持続的で強い傍胸骨拍動は右心室肥大や右心系圧負荷を示唆する。肺高血圧、肺動脈弁狭窄、慢性肺疾患に伴う肺性心などで認められることが多い。また、胸骨左縁下部での拡張期に強い拍動は右心室容量負荷や三尖弁閉鎖不全を考える手がかりとなる。心室中隔欠損などでは拍動が増強する場合もある。傍胸骨拍動は視診・触診のみで評価可能であり、右心機能や肺循環異常を推定するうえで有用な、基本的かつ重要な循環器身体所見である。


松下記念病院 川崎達也)

2025-08-14

Ⅳ音の深堀

心電図異常を指摘された無症候例

😎 解説
  • 漸増・漸減する収縮期の駆出性雑音あり
  • 前収縮期(拡張後期)に大きな過剰心音
  • 低調成分が主体であるためS4(赤四角)
  • 本例の最終診断は閉塞性肥大型心筋症

😛 追加コメント
  • 洞調律の肥大型心筋症では肥大部位にかかわらずS4を高頻度(約70%)に認める(Circ J  2023;87:1068-74)。
  • なおS4の生じる前提として、心室コンプライアンスの低下あるいは拡張末期圧の上昇に対する心房機能の亢進が必須
  • 増高した心室流入血流が硬い心室を振動させてS4が発生(Tavel ME. Year Book Medical Publishers;1971:44-63)
  • この振動はA波として触知でき(下図),抬起性拍動と合わせて二峰性心尖拍動(double apical impulse)と呼ばれる.
  • なお心房細動ではⅣ音(第4音)は記録されない.また洞調律であっても心房機能が低下すればS4は減弱~消失(


松下記念病院 川崎達也)

2025-07-24

本例は中等症~重症の心不全

下腿浮腫で来院した大動脈弁置換術後例(座位)

😋 解説
  • 安静座位で頚部中央に陥凹を認める
  • 深吸気の負荷で一見、拍動が消失?
  • よく見ると顎下に明瞭な陥凹(矢印)
  • 非代償性心不全と考え利尿薬を追加

😎 コメント
  • 心不全の「シンプル頚静脈©」は,拍動を視認するか否かの定性法ですが,慣れてくれば定量法にも挑戦してみてください.
  • 本例は中心静脈圧(≒右房圧)の上昇が中等症~重症の心不全と判定できるでしょうか.大まかな目安は下表をご参考に💁

軽症 中等症 重症
拍動の上縁 鎖骨上窩 頚部中央 顎下
負荷の有無 吸気保持で早期のみ拍動 吸気保持で拍動持続 安静時に拍動
拍動の様式 二峰性の陥凹 一峰性の陥凹 隆起



松下記念病院 川崎達也)

2025-05-05

頚部で動脈拍動と静脈拍動を同時に視認すれば…

下腿浮腫が悪化した症例(座位)

😊 解説
  • 頚部中央に周期的隆起(動脈 or 静脈)
  • よく見ると周期的な二峰性陥凹(矢印)
  • 陥凹は必ず静脈なので頚部中央は動脈!
  • 吸気負荷で陽性波は変化なし(=動脈)
  • 静脈拍動は筋肉の緊張で見えなくなった
  • 最終診断は連合弁膜症の非代償性心不全

💁 コメント
  • 頚部で動脈拍動と静脈拍動を同時に視認すれば,ぜひ時相に注目してください.頚部の隆起時(収縮期)に内頚静脈が陥凹(x谷)しているはずです.そして頚部の隆起の終了後(拡張期)に頚静脈の二つ目の陥凹(y谷)が出現しているはずです.もっとも座位では静脈圧の伝播速度が動脈よりも遅れるためか,本例では少しぎくしゃくした動きになっていますが…
  • 頚部で動脈拍動と静脈拍動を同時に視認すれば,高心拍出性の心不全が疑われます.動脈拍動は大脈であるコリガン脈を示唆し,静脈拍動は右房圧の高度上昇を意味するためです.なお本例では吸気負荷を行っていますが,安静時に拍動を視認すれば,負荷後に見えなくても心不全です

松下記念病院 川崎達也)

2024-04-25

今週の一枚 🎯 一発診断

心電図異常の無症候例(座位)

👭 二峰性心尖拍動(double apical impulse)
  • 左乳輪の下内側に心尖の拍動を視認
  • 健常者のタッピングとは異なる動き
  • ”グニョ グニョ”とした不思議な動き
  • 付箋では二段階モーション(矢印)
  • 最終的に心尖部肥大型心筋症と診断

👶 追加コメント
  • HCMは拡張相に移行しなければ,通常は心拡大を来たしません.よって男性なら本例のように左乳輪の内側に拍動があります(女性では正中より10 cm以内).
  • 肥大型心筋症に対する二峰性心尖拍動の診断感度・特異度・正診率は各々27%,98%,66%です(当院研究).これは心尖部型(APH)に限りません.
  • 2峰性心尖拍動は大きなA波と抬起性拍動(左室肥大を示唆)によって構成されます.よってこの部位では明瞭なⅣ音が聴診できます(もちろん触診も可能).
  • Ⅳ音は聴診よりも触診の方が気付きやすいと言われることがありますが(触ってナンボの法則),個人的には大きな雑音がなければ聴診の方が簡単...(雑音症例

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ松下ERランチ・カンファレンスの名物コーナー)

松下記念病院 川崎達也)

2024-02-01

ハミングバード徴候 Hummingbird sign

ひと月前に突然出現した動悸とその後の息切れ(座位)

👶 解説
  • よく見ると右側の頸部が細かく振動している
  • 深い吸気の保持中に外頸静脈が怒張(矢頭)
  • 病歴+フィジカル診断は頻拍誘発の心不全
  • 最終診断は2:1伝導のAT+頻拍誘発性心筋症

🐝 ハミングバード徴候(Hummingbird sign)
  • 同徴候はハチドリの激しい羽ばたきを想定して命名しました(当科論文).房室結節回帰性頻拍(AVNRT)によるフロッグサイン(frog sign)のおよそ2倍の周期で振動します.
  • 頸部の拍動では動脈性か静脈性かの鑑別が必要ですが,このような早い拍動(>200 bpm)なら静脈性と考えられます.安静時に生じる超頻脈では動脈圧が低下するためです.
  • 静脈性拍動には隆起と陥凹の二通りありますが,本例のように周期が極めて短い場合は隆起が多いと思います.x谷とy谷の2峰性陥凹は早ても100 bpm程度でしょうか(自験例).

松下記念病院 川崎達也)

2023-11-09

今週の一枚 🎯 ゴニョゴニョ

心電図異常(洞調律・ST-T変化)で来院した男性(座位)

😎 診察室中継
  1. 呼吸時の大きな胸壁の動きにめげずに心尖の拍動を探す
  2. 心尖拍動(矢印)を認識したら次はその位置を確認する
  3. 拍動が左乳輪外側とは言えないため心拡大はないと判断
  4. 次に拍動様式を分析:なにか”ごにょごにょ”している?
  5. 触るってみると二峰性拍動(ダブルインパルス)の疑い
  6. 拍動部位で大きなⅣ音を聴診して肥大型心筋症を疑った
  7. その後に心エコー図で心尖部肥大を確認しAPHと診断

😁 楽しい臨床
  • 二峰性心尖拍動(ダブルインパルス)と言えば肥大型心筋症です(特異度98%:当院の臨床研究).心尖部肥大型心筋症に限らず,巨大Ⅳ音を示唆する所見です.視診・触診・聴診のいずれでも診断できますが慣れが必要でしょうか?
  • 最近は,二峰性またはダブルにはあまりこだわらなくていいのではと思っています.リアルの臨床現場では本例の様に胸壁の動きも加わるため細かい判定はより難しく成ります.「なにかゴニョゴニョしているな〜」程度で十分です.
  • 先月に経験した症例はHCMでギクシャクしている心尖拍動でした.視診から肥大型心筋症を疑い,心エコー図で確認する臨床スタイルは机上の空論ではありません.誰にでも可能で,かつ日常臨床を楽しくする知識だと思います.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ松下ERランチ・カンファレンスの名物コーナー)

松下記念病院 川崎達也)

2023-10-09

これは指腹ではなく指先で!

検診で心電図異常を指摘された無症候例

👥 ダブルインパスルス(二峰性心尖拍動)
  • 左半側臥位で抬起性(持続時間の長い)の心尖拍動(矢印)
  • よく見るとグググといった(スムーズでない)隆起パターン
  • 付箋をつけるとその立ち上がりが一峰性でないことが分かる
  • 最終診断は肥大型心筋症(非閉塞性かつ非対称性中隔肥大)

👤 コメント
  • Double apical impulseとは小さな振れ(atrial kick=A波=心房収縮波)の後に大きな振れ(抬起性)が続く心尖拍動で,肥大型心筋症にかなり特異的です(感度27%・特異度98%)(当院の研究).つまりあればおそらく肥大型心筋症と確定可
  • 問題はダブルインパスルスを認識できるか否かです.視診・触診・聴診の中では視診が最も難しいと思いますが,これは慣れで克服できると思います.本ページには肥大型心筋症の二峰性拍動が多数アップされているので確認してみてください(ココ
  • 視覚の時間分解能は低いと思われますが,指先は超高感度の圧センサーです.何かギクシャクした隆起だと思ったら是非,指先で感じてみてください(触ってなんぼの法則).ポイントは指腹でなくて指先でしょうか.ズズンと伝わってくるでしょう.
  • 個人的にはⅣ音が好きかつ得意なので,ダブルインパスルスよりも巨大Ⅳ音(心房収縮波の音版)を信頼しています.ただし閉塞生の肥大型心筋症では収縮期雑音が過剰心音の聴診を難しくすることが少なくありません(自験例).この時は指先に全集中

松下記念病院 川崎達也)

2023-07-03

心尖拍動も体位依存

肥大型心筋症でフォロー中の症例(症状なし)

🐤 解説
  • 左半側臥位では明瞭な抬起性心尖拍動あり
  • よく見ると付箋の振動から二峰性心尖拍動
  • ただし仰臥位では心尖拍動は不明瞭になる
  • もちろん本例では巨大Ⅳ音を聴取かつ触知

🔗 復習
  • 心尖拍動は,その位置(心拡大と関連)や様式(心肥大と関連)などを評価することが大切です.ただし頸静脈と同様に,体位によってその所見が変化します(視認性や触知率も含む)
  • 感度的には左半側臥位がベストですが,座位も簡便で悪くないと思います(必要に応じて呼吸調整).最も分かりにくい(感度が低い)のは仰臥位ですが,逆に特異度は良好でしょうか

松下記念病院 川崎達也)

2023-06-26

分かりにくかった頸動脈二峰性拍動

全身浮腫と息切れで受診した化学療法中の担癌症例(臥床)

👶 解説
  • 左側の頸動脈拍動を伝える舌圧子に明瞭な上下運動あり
  • その動きは二峰性拍動(pulsus bisferiens/biphasic pulse)
  • 心エコーでは左室流出路狭窄,僧帽弁逆流,左室過収縮
  • 抗がん剤による体液貯留で生じた高拍出性心不全と診断

😅 診察室実況
  • 収縮期駆出性雑音(3度)があったため流出路狭窄も鑑別診断には含めたが,初回の頸動脈診察で二峰性拍動とは診断できなかった.心エコー図の結果(左室流出路圧格差>60 mmHg)に驚いて,頸動脈の診察をやり直した時の動画が上記である.
  • 頸動脈の2峰性拍動といえば閉塞性肥大型心筋症(spike and dome型:自験例)と大動脈弁逆流(鋭い2峰:自験例)が有名である.本例の様に反応性の過収縮から生じた左室流出路狭窄による2峰性拍動はあまり明瞭にはならないのだろうか?

松下記念病院 川崎達也)

2023-06-22

プルプル心尖部

端座位の肥大型心筋症例

👀 解説
  • 心尖拍動を視認 ➜ 左乳輪内側で心拡大はなさそう
  • 心尖拍動はとても明瞭 ➜ 抬起性(心肥大)の疑い
  • よくみるとプルプルっとなっていて単峰性ではない
  • 触診でダブルインパルスがあり聴診では巨大Ⅳ音
  • 本例では剣状突起が目立っている(病的意義なし)

👶 独り言
  1. 通常の心尖拍動の他に拍動を認める場合(二峰性心尖拍動)は,心房性隆起(前収縮期)と心室性隆起(拡張早期)が考えられます.前者は聴診のIV音に相当し, 左室のコンプライアンスが低下していると考えられます(例:肥大型心筋症).後者は増大した左室への急速流入波あるいはIII音を反映します(例:高度の僧帽弁逆流).
  2. 個人的な経験では,視認で気づく二峰性心尖拍動の大部分は肥大型心筋症によるatrial kick(心房性隆起)です.マイ感度は触診≧聴診>視診の順です(過去の投稿).一方,ventricular kick(心室性隆起)はともて小さいので触知はできても視認することは極めて稀です.僕の感度は聴診>触診≫視診の順でしょうか?

松下記念病院 川崎達也)

2023-05-25

論文 🏆 HOCMの身体所見

  • 当院の循環器内科専攻医である野口先生が経験した症例が出版されました
  • 典型的なフィジカル所見を示した閉塞性肥大型心筋症(HOCM)の1例です
  • 頸動脈は二峰性拍動(pulsus bisferiens)でspike and dome型の波形でした
  • 心尖もatrial kickと抬起性拍動のダブルインパルス(double apical impulse)
  • 心音は収縮中期の過剰音(偽駆出音/SAM音)およびそれに続く収縮期雑音


😀 追加コメント
  • 僧帽弁が収縮期に前方運動(SAM; systolic anterior motion)して非対称性中隔肥大と接触する時に生じる偽駆出音は是非とも覚えておきたい過剰音です.駆出性雑音が続く音感は独特であり,フィジカル診断の大きな武器になります.
  • 僕自身も外来でフォロー中のHOCM例で心音をもう一度注意して聞きなおしてみると,この音が決して稀でないことが分かりました.論文には音声ファイルが添付されていますが,ダウンロードや解凍が手間なので下記にアップしておきます.

👉「論文」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2023-02-20

閉塞性肥大型心筋症の身体所見:まとめ


😀 実際の所見

 😙 独り言
  • 頸静脈の増高a波や心尖のダブルインパルス力強い第4音の存在は(閉塞機転の有無に関わらず)肥大型心筋症の画像検査診断に間違いなく役立ちます.
  • 頸動脈のスパイク・ドーム波形は有名ですが僕は自信がありません.一方,偽駆出音は稀ですが独特のリズムなので,耳コピしておけば一発診断が可能です.

松下記念病院 川崎達也)

2022-10-20

新しい頸静脈負荷法:上肢挙上

慢性左不全の症例:坂道で息切れあり

🍩 解説
  • 座位で鎖骨上に内頸静脈の拍動は視認できない(中心静脈圧の高度上昇なし)
  • 吸気負荷で二峰性の陥凹が出現(静脈圧は中等度上昇:目安は9-14cm水柱)
  • 吸気負荷の中止で拍動は消失するが,左上肢の挙上で拍動が再度出現(矢印)

😗 独り言
  • 慢性期心疾患の病態評価には負荷検査が必要です(例えば負荷心電図,負荷心エコー図,負荷シンチグラフィ).最近では心臓カテーテル検査中にも負荷を行なっています(冠血流予備能比FFRなど).
  • もちろん頸静脈評価にも負荷を適応できます(当院の研究:6分間歩行負荷吸気負荷).前負荷を増やす方法は多数ありますが(蹲踞姿勢や下肢挙上,肝圧迫など),本例のように上肢挙上も簡便です.
  • 個人的な経験からは左側のみの挙上がいいと思います.右側挙上あるいは両側挙上(前負荷が倍増)では,あたりまえですが右内頸静脈の視認(特に鎖骨上窩の僅かな陥凹出現の判定)が難しくなります.

松下記念病院 川崎達也)

2022-07-14

この組み合わせを見たら…

非心臓手術の術前評価で循環器内科を受診した症例

🐔 解説
  • 座位で内頸静脈と(僅かに)外頸静脈の拍動を視認 ➜ 中心静脈圧の上昇
  • 吸気で外頸静脈が怒張している(動画中の矢印)➜ クスマウル徴候陽性
  • 内頸静脈は吸気で拍動が明瞭化(動画の✳︎) ➜ (広義のクスマウル徴候)
  • 拍動は二峰性陥凹でx下行よりy下行が大かつ急峻(フリードライヒ徴候)
  • 本例は他院で収縮性心膜炎と診断され経過観察されている症例であった
  • 心不全は概ね代償されているため当院で予定の非心臓手術は可能と判断

🐓 独り言
  • 急峻y下行(フリードライヒ徴候)と深吸気時怒張(クスマウル徴候)の組み合わせは収縮性心膜炎を疑うきっかけになります(典型例).本例では通常呼吸時の外頸静脈で(よくみると)y谷が急峻であることから”ピン”ときました.
  • 心エコー図で収縮性心膜炎に関する所見をルーチンに評価することはないと思います.よって身体所見で収縮性心膜炎を疑い,そのことをエコー検者に伝えることが重要です(フィジカルと心エコー図が手を組めば鬼に金棒以前の投稿

松下記念病院 川崎達也)

2022-05-19

呼吸反応+拍動パターン:判定量的評価

慢性左心不全で加療中の症例が息切れの悪化を訴えた

🐦 解説
  • 深吸気保持で鎖骨上窩に陥凹(矢印)が出現(クスマウル徴候が陽性)
  • よくみると通常呼吸時にも吸気時に陥凹(広義のクスマウル徴候陽性
  • さらによく見ると,内頸静脈の陥凹はy谷が優位(通常ではx谷が優位)
  • 慢性左心不全の増悪と診断して内服薬の調整を行なった(利尿薬追加)

🐤 追加コメント
  • 内頸静脈拍動は二峰性の陥凹が基本です(復習).通常はx谷>y谷で,中心静脈圧の上昇に伴いx谷<y谷収縮期陽性波と変化することが多いと思います.
  • 座位で鎖骨上に内頸静脈拍動の有無を視覚的に判定する簡易定性法はあくまでも定性法ですが,上記の拍動様式を評価すれば半定量的な評価もできます.
  • さらに呼吸に対する反応も追加可能(例:通常呼吸の吸気時に認めれば,通常のクスマウル負荷陽性よりも重症で,拍動パターンがx谷の閉塞ならより重症)

松下記念病院 川崎達也)

2022-03-21

肥大型心筋症のⅣ音

🔍 Ⅳ音の復習
  • 心尖部で聴取するⅠ音の直前の低調成分で,聴診器のベル部を軽くあてて聴取
  • ベル部を強く胸に押し付けたり膜部では通常,Ⅳ音は聞こえない(実際の感じ
  • 心房収縮に伴う血流が(主に)左室を拡張させる時に発生する音と考えられる
  • よって心房細動はⅣ音なし(心電図でP波があっても心房収縮がなければ同じ)
  • 心尖拍動のA波と概ね一致するため,視診や触診でも判定することが可能(
  • Ⅳ音との鑑別は駆出音Ⅰ音の分裂(Ⅳ音以外は膜部でも聞こえることで鑑別)
  • Ⅳ音は一番聴取困難な音と言われることもあるが肥大型心筋症ではとても明瞭
  • 肥大の部位や閉塞機転の有無にかかわらずHCMではⅣ音を聴取(頻度は下記)
  • 逆に洞調律の肥大型心筋症でⅣ音がなかったら心事故のリスク(当院の研究

ー 肥大型心筋症での検討(自験例)ー

👶 独り言
  • 聴診よりも心音図の方がⅣ音の検出率が高いことにはいくつかの理由があります.一つはⅠ音に近接するⅣ音は聞き取りにくいという問題です.これはベル部の押し込みによる幅広Ⅰ音の変化で認識可能です.もう一つは大動脈弁狭窄のような大きな雑音を伴う症例です.無意識に耳にフィルターがかかりるため(音響隠蔽),Ⅳ音だけでなくⅠ音の認識すら難しくなります(自験例).こんな時は触診の活用が望まれます.指先(超高感度圧センサー)で二峰性心尖拍動(ダブルインパルス)を感じてみてください(触ってなんぼの法則).

松下記念病院 川崎達也)

2021-11-01

ココでは聴診より触診

胸痛で来院した症例の心音(心尖部)と心尖拍動

🍘 臨床現場
  • 収縮期に雑音があり明瞭なⅡ音を認識できるため,逆流性雑音ではなくて駆出性雑音と判断.雑音が鎖骨や頸部にも放散しているため,閉塞性肥大型心筋症ではなくて大動脈弁狭窄と予想.引き続き行った心エコー図で大動脈弁狭窄(中等度)を確認して一安心(僧帽弁逆流であることは稀でない).
  • ただし心音図をみてビックリ.大きなⅣ音(赤四角)と心尖拍動のA波増高(赤矢印)が記録されていた.もう一度聴診をやり直したが,Ⅳ音はうまく聞き取れなかった.一方,心尖部を丹念に探ると二峰性拍動が指先に伝わってきた.Ⅳ音はしばしば聴診より触診である(いわゆる触ってナンボの法則
  • このダブルインパルス(A波+抬起性拍動)は触知するⅣ音+左室肥大を反映する所見で,肥大に伴った心筋コンプライアンスの低下を生じる病態で出現しやすいことが知られている.その代表疾患は肥大型心筋症(自験例)であるが,大動脈弁狭窄に加えて高血圧性心疾患(自験例)などでも認める.

🍙 独り言
  • 大動脈弁狭窄のような大きな駆出性雑音では耳に(勝手に)フィルターがかかります.音柱の宇髄天元になったつもりで全集中しても,Ⅳ音の有無の判定は困難です(Ⅰ音すら不明瞭 😅)
  • こんな時は聴診にこだわらずに,触診に切り替えてください.指先は超高感度の圧センサーです.二峰性心尖拍動なら触診>舌圧子>視診の順に分かりやすいと思います(個人的感想 😋)
  • 一方,閉塞性肥大型心筋症のⅣ音は,心雑音があっても大動脈弁狭窄より認識しやすいと思います(自験例).雑音の直前に引っ掛かりがあります(これも個人的な感覚ですが 😤)

松下記念病院 川崎達也)

2021-07-26

ダブルリトラクション(二峰性陥凹) Double retraction

健診で心電図異常を指摘された無症状の症例

💞 解説
  • 坐位で窩部左側に周期的な皮膚面の陥凹(心尖周囲には拍動なし)
  • 時相解析から収縮期陥凹と判断 ➜ 収縮性心膜炎で有名であるが…
  • よくみると陥凹は二峰性で小さい凹が抬起性の陥凹に先行(付箋)
  • 収縮性心膜炎を示唆する所見なく最終診断は非閉塞性肥大型心筋症

💕 迷?探偵
  • 本例の拍動は部位からも左室心尖の拍動とは考えられず,右室の拍動を見ているものと推測した.実際に本例では明瞭なⅣ音を聴取したが,心尖以外の広い範囲でも確認できた(つまり右心系Ⅳ音の疑い:いわゆるどこでもⅣ音).
  • この聴診所見は,本例のダブルインパルスならぬダブルリトラクション(収縮期の二峰性陥凹)が右心系の由来という推測を支持する.ちなみに本例は右室拡大や右室肥大はなく,左室の心尖拍動の牽引(?)による右心尖周囲の偏位と思われる.

松下記念病院 川崎達也)

2021-06-03

怠け者? Definitely No!

労働現場で「気合が足らん」と言われていた症例

👹 所見の解説
  • 舌圧子の上方移動が二段である ➜ 二峰性拍動(pulsus bisferiens/biphasic pulse)
  • 同所見は閉塞性肥大型心筋症(spike and dome型)または大動脈弁逆流(鋭い2峰)
  • 本例の二峰性拍動は後半が前半より小さいが後半のフレも鋭い(dome型ではない)
  • 心エコー図で大動脈弁輪拡張と高度大動脈弁逆流を認めた(大動脈弁は三尖あり)
  • 肥大型心筋症の二峰性拍動は通常,後半成分が鋭くならない(自験例1自験例2

👺 独り言
  • 本例は舌圧子を用いなくても頸動脈の鋭い拍動(コリガン脈)を認めることに注目(頸部の中央を注視すれば二峰性も見えてくる).コリガン脈は座位の方がより明瞭に観察できることが多い(重力による虚脱増強のため:自験例).一方,肥大型心筋症であれば頸部の陽性波は通常,頸静脈のa波である(自験例).
  • 本例は労働現場ですぐに休みたがるため職場仲間から「気合が入っとらん!」と言われていたようである.一方,診察室に入って来られた瞬間にコリガン脈から診断したため患者さんと家族にとても驚かれた.「いままでいくつかの医療機関を受診したのに…」と聞いて逆にこっちが驚いた.

松下記念病院 川崎達也)